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モンゴル1歳女児「みなさんの善意で治る」 明美ちゃん基金適用、来日
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「明美ちゃん基金」が適用されたモンゴルの女児、ソドビレッグ・ツェルメグちゃん(右)と、母親のトゥルバト・スブドエルデネさん。重い心臓病を治す手術を受けるため来日した=2014年1月10日午後、千葉県成田市・成田空港(蔵賢斗撮影) 先天性の重い心臓病に苦しむモンゴルの1歳3カ月の女児、ソドビレッグ・ツェルメグちゃんに、産経新聞社は国内外の心臓病に苦しむ子供を救う「明美ちゃん基金」の適用を決めた。ツェルメグちゃんは1月10日、母親らとともに来日、東京女子医大病院(東京都新宿区)に入院した。今後、精密検査を受けた後に手術を受ける予定。モンゴル人への適用は3人目。
「日本のみなさんの善意を受けた私の子供は、絶対に治ると信じている」-。母親のトゥルバト・スブドエルデネさん(25)は、基金の支援に感謝の意を示し、治療への期待を語った。
モンゴルの首都、ウランバートル在住のツェルメグちゃんは2012年9月12日、建設会社に勤務する父、チュルーンバータル・ソドビレッグさん(27)と、歯科医を目指し大学で研修生をしている母、スブドエルデネさんの長女として生まれた。2人にとって初めての子供。人生が晴れ渡るようにと、モンゴル語で「晴れた空」を意味する「ツェルメグ」と名付けたという。
しかし、3カ月ほどたつと母乳をあまり飲まなくなり体重も増えなくなっていった。「大丈夫だろうか」。夫婦で不安を抱える中、昨年(2012年)4月にツェルメグちゃんが肺炎を起こして病院で受診した際、「心臓の状態がおかしい」と指摘を受けた。(2012年)11月にはモンゴルで子供の心臓病の検診をボランティアで行っているNPO法人「ハートセービングプロジェクト」(東京、羽根田紀幸理事長)の心臓検診に参加。HSP副理事長で、昭和大横浜市北部病院の富田英(ひでし)教授(59)らにより「左冠動脈肺動脈起始症」と診断された。
冠動脈は、心臓を取り巻き心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を送る血管だ。通常は酸素を豊富に含んだ血液が流れる大動脈から枝分かれしているが、ツェルメグちゃんは左冠動脈が、全身を経由して酸素や栄養が少なくなった血液が流れる肺動脈から枝分かれしている。このため、心臓の機能が低下。いずれ心筋梗塞などを発症し、死に至る。
日本なら手術を行い、命を落とすことはまずない。しかし、モンゴルには医療技術がない。若い夫婦の月収は日本円で約3万円。海外で治療を受けさせるような金銭的な余裕はない。
それでも富田教授の「もしかしたら、日本で治療する手段があるかもしれない」という言葉に希望をつないだという。「実際に基金適用を知らされたときは、涙が止まらなかった」。スブドエルデネさんはこう振り返る。
10日夕、入院先の東京女子医大の病室に到着すると、不安そうな表情で涙を浮かべるツェルメグちゃんに、スブドエルデネさんはやさしく語りかけた。「日本で元気になって、笑顔でモンゴルに戻ろうね」(SANKEI EXPRESS)
「明美ちゃん基金」への振り込みは、みずほ銀行東京中央支店(店番号110)普通口座567941「産経新聞社会部明美ちゃん基金」。郵送の場合は、現金書留で〒100-8077 産経新聞東京本社社会部「明美ちゃん基金」。