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アサド政権存続、ロシアが指南

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アサド政権存続、ロシアが指南

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スイス・ジュネーブ  【佐藤優の地球を斬る】

 スイスのジュネーブで今月(1月)22日に開催予定のシリア問題に関する国際会議「ジュネーブ2」を前に、ロシアが外交攻勢を強めている。1月14日付露国営ラジオ「ロシアの声」が報じたシリアのジャファリ駐国連大使のインタビューが興味深い。

 <シリア国連大使バシャール・ジャファリ氏が国連安保理およびパン・ギムン事務総長に書簡を送り、アラブ諸国におけるテロ組織の活動を支援しているとして、サウジアラビア政府を訴えた。「ロシアの声」はこのジャファリ氏に話を伺った。

 ――シリアにおけるアルカイダの活動を支援しているとしてサウジアラビアを非難する公式書簡を提出なさいました。シリア政府はこれまでにも度々、こうした訴えを起こしています。国連宛ての書簡には、具体的な事実が書かれているのでしょうか?

 「シリア内戦は3年目に入る。ご指摘の通り我々は、これまで度々、国連安保理や国連対テロ委員会に訴えを上げてきた。サウジアラビアは主権国家の内政への積極的干渉を止めようとしない。シリア国内のテロリストへ資金援助を施すばかりか、彼らを訓練し、武装させている。我々はシリア国内で死亡が確認されたテロリストらの名前と国籍を示した書簡を度々国連安保理に送ってきた。最後の手紙には、サウジアラビア人数百人の名が記されている。彼らは傭兵だ。そのことの証明も書簡に込めた」

 ――これまでに送られた書簡は、何ら具体的な結果を生みませんでした。それでも書簡を出す目的はどこにあるでしょうか?

 「我々は国際法に則っている。ともに国連加盟国である国家Aが国家Bに、テロ支援について非難を出した。そのとき国家Bは、非難の当否を回答しなければならない。サウジアラビアはシリアの疑問に回答を与えねばならないのだ。シリアで死んだこの178人のサウジアラビア人はいったい何なのか。名前まではっきり記されたこの者たち、あるいは前回までの書簡に示した、都合300名の者たちについて、彼らは説明しなければならない。私たちの拠り所は法、数、事実だ。我々の調べでは、シリアで活動している外国人テロリストの15%がサウジアラビア人だ。あらゆる客観的データを国連に、また国際会議『ジュネーヴ2』参加国に届けるまでだ」>(http://japanese.ruvr.ru/2014_01_14/127266007/

 テロ拡散よりは…欧米誘導

 ロシアがシリアのアサド政権に知恵をつけていると筆者は見ている。シリア反体制派の一部にアルカーイダなどのイスラム原理主義過激派とつながる分子がいることは事実だ。こういう分子を含む反体制派にサウジアラビアが資金や武器を提供しているのも事実だ。その部分をプリズムで拡大し、欧米諸国の危機感をあおり、「テロリズムが国際的に拡散するよりは、アサド独裁政権が続いて、シリアが安定していた方がいい」という方向に欧米を誘導するというのがロシアのシナリオだ。シリアはロシアの指南通りに動いている。ジャファリ大使のインタビューもこのようなロシアのプロパガンダ(宣伝)戦の一部だ。ロシアのもくろみは、恐らく成功する。それは、イスラエルがシリアが極度の混乱に陥らず、「スタートゥス・クオ(現状維持)」が続くことが、所与の条件下では最良のシナリオだと考えているからだ。この観点から、イスラエルとロシアは、さまざまなチャンネルを使って、シリア問題について両国の利害関係を調整していると思う。

 対抗措置とらない米国

 それにしても不思議なのは、米国のオバマ政権の動きだ。米国の中東専門家にもロシアの思惑は見えているはずだ。それなのに対抗措置を何もとっていない。このままではシリアはロシアの「保護国」になる。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS

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