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【首相施政方針演説】集団的自衛権「やれば、できる」

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【首相施政方針演説】集団的自衛権「やれば、できる」

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衆院本会議で施政方針演説を行う安倍晋三(しんぞう)首相=2014年1月24日午後、国会(三尾郁恵撮影)  第186通常国会が1月24日召集され、安倍晋三首相(59)は衆院本会議で施政方針演説を行った。「集団的自衛権」の行使容認に向けた憲法解釈変更に意欲を示し、自衛隊の海外展開を念頭に、世界の平和と安定に貢献するとうたう「積極的平和主義」の意義を強調した。東シナ海上空への防空識別圏設定や海洋進出など権益拡大を図る中国を名指しで批判。4月の消費税増税対策に全力を挙げるとともに、経済の好循環実現に決意を示した。

 2012年12月の第2次安倍内閣発足後、首相は初めて国会演説で集団的自衛権に明確に言及。「集団的自衛権や集団安全保障については(有識者でつくる)『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』の報告を踏まえ、対応を検討する」と打ち出した。中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で領海侵入を繰り返していると説明し「力による現状変更の試みは決して受け入れることはできない。毅然かつ冷静に対応する」と言明。日中首脳会談が実現しないことを懸念し「課題があるからこそ対話をすべきだ」と呼び掛けた。

 また、今国会を「好循環実現国会」と位置付け、自身の経済政策「アベノミクス」の効果で有効求人倍率やボーナス支給額が上向いているとし、「景気回復の実感を全国津々浦々にまで届ける」と宣言した。消費税増税について「経済対策により持続的な経済成長を確保する」と力説し、経済再生と財政再建の両立を図る方針を掲げた。

 東日本大震災からの復興では除染や健康不安対策の強化、新たな交付金創設などを列挙。国が前面に出て東京電力福島第1原発の廃炉・汚染水対策に取り組むと訴えた。原子力規制委員会の安全性確認がなければ原発再稼働はないと明言した。

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に関し「国益にかなう最善の判断をする」と約束。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題については「名護市辺野古沖の埋め立て申請が(県知事から)承認されたことを受け、速やかな返還に向けて取り組む」と表明した。

 昨年(2013年)成立した特定秘密保護法や、自身の靖国神社参拝には触れなかった。

 ≪集団的自衛権「やれば、できる」≫

 安倍首相は1月24日の施政方針演説で、ようやく集団的自衛権に言及した。第2次政権発足から1年余り。最優先課題の経済再生に道筋を付けた自信から、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈見直しに本格着手する余裕も生まれた。だが、見直しには公明党が立ちはだかる。長期政権に入れるかどうかの正念場を迎える。

 「公明の壁」どう克服

 首相は演説で集団的自衛権について、4月にも「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」が提出する報告を踏まえ「対応を検討する」と述べた。行使容認と言及したわけでもない抑制的な表現だが、「集団的自衛権」に触れた意義は大きい。

 首相は当初、昨年(2013年)中に解釈見直しに踏み切る意向だった。だが、経済優先の方針に加え、見直しに反対する連立与党の公明党は連立離脱をちらつかせて難色を示した。山口那津男(なつお)代表(61)は23日の記者会見でも「今国会中という時期には必ずしもこだわらない」と首相を牽制(けんせい)した。公明党は「政権のブレーキ役」どころか、「与党最大の抵抗勢力」の様相にもなっている。

 通常国会が閉会する6月22日は今年の折り返しと重なる。会期中に政府・与党として集団的自衛権の行使容認に向けて何もしなければ、さらに来年に先送りとなる可能性もある。

 「今の時代はスピードが大切で、ぼやかした形では時間がかかる。歯切れ良く、やらなければならないことはきちんと言って、その代わり国民の理解を得て決めていく」

 首相は政治の進め方について、産経新聞元日付で掲載した作詞家、秋元康氏(55)との対談で、こう熱く語っていた。首相は閣議決定で解釈見直しを行う方針だが、公明党の反対を押し切る形だと政権は大いに揺らぐ。実現できないと、首相を支持してきた人たちの期待が落胆に変わりかねない。

 長年の課題と向き合う

 演説では、沖縄への配慮も目立った。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古への移設を進める決意を強調した上で、「沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、『できることは全て行う』との姿勢で取り組む」と基地負担軽減への努力を誓った。

 同時に、沖縄を「21世紀のアジアの架け橋」「21世紀の成長モデル」と持ち上げ、2021年度まで毎年3000億円台の予算確保を強調した。

 (1月)19日の名護市長選では市長の権限で移設阻止を公言する稲嶺進市長(68)が再選した。移設には沖縄の理解を求める忍耐強い取り組みが必要になる。

 首相は演説で「やれば、できる」との表現を4回使った。政権1年目は経済再生や20年東京五輪の招致実現などの成果を挙げたが、2年目はいよいよ歴代政権が果たせなかった課題と向き合う。(SANKEI EXPRESS

 【施政方針演説ポイント】

・集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更に意欲。「積極的平和主義」の意義を強調

・東シナ海上空への防空識別圏設定や海洋進出など権益拡大を図る中国を名指しで批判

・4月の消費税増税対策に全力。経済の好循環実現に決意

・東日本大震災からの復興で除染強化や交付金創設などを列挙

・原子力規制委員会の安全性確認がなければ原発再稼働はないと明言

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