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【スキー複合】「万能選手」育成 ルール変更に勝利 お家芸復活 複合「銀」の渡部暁、LHにも意欲

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【スキー複合】「万能選手」育成 ルール変更に勝利 お家芸復活 複合「銀」の渡部暁、LHにも意欲

更新

2014年ソチ冬季五輪会場。競技は、ロシア・ソチの市街地から約40キロ南東にある黒海沿岸の「アドレル」と、アドレルから約45キロ離れた山岳地域の会場「クラースナヤ・パリャーナ」の2カ所で実施。(C)Google  ソチ冬季五輪のノルディックスキー複合・個人ノーマルヒル(NH)で渡部暁斗(わたべ・あきと、25)=北野建設=が2月12日、銀メダルをつかんだ。かつて“お家芸”といわれた複合で、日本勢のメダルは1994年リレハンメル五輪以来20年ぶり。低迷脱出の努力が実り、成田収平(しゅうへい)監督は「最大の目標の五輪でまず1個取れたのは大きい」と喜んだ。

 ジャンプも距離も

 五輪4大会で表彰台から遠ざかった一因に、距離の比重増というルール変更が挙げられる。日本は低迷打破を目指し、渡部暁のように、ジャンプだけでなく距離も高いレベルの万能型選手の育成を目指した。

 有望な若手を積極的に海外遠征に参加させるなど、世代交代を進めたのも大きい。高校2年で2006年トリノ五輪に初出場し、飛躍のきっかけとした渡部暁はその象徴的存在といえる。それが09年世界選手権団体の金メダルにも結びついた。

 10年バンクーバー五輪後には、ジャンプを武器にW杯通算2勝を挙げた高橋大斗(だいと、土屋ホーム)がW杯の遠征メンバーから外れ、代わって渡部暁がエースに成長した。

 前回五輪後は「W杯出場枠を4(当時)から6へ」など具体的な目標を設定して底上げを図った。昨季途中に達成し、成田監督は「決して簡単ではない目標をクリアしたことはチーム力が上がった証拠」と胸を張った。

 今大会は期間中の環境面にも配慮した。複合チームは日本選手団を支援する「マルチサポートハウス」に宿泊。山間部の競技会場に近い施設には日本食のほか、スキーの滑りを良くするために滑走面に細かな溝をつける機械を初めて持ち込んだ。

 12日の試合の後半距離で、渡部暁のスキーは金メダルのエリック・フレンツェル(ドイツ)より良く滑った。さまざまな支援も充実し、初戦でしっかり好結果を出した。

 「肩の荷が下りた」

 複合で日本に20年ぶりのメダルをもたらし、個人でもリレハンメルでの河野孝典(こうの・たかのり、現代表コーチ)以来2人目のメダリストとなった渡部暁は一夜明けた13日、現地で記者会見し「20年という時間は知らなかった。最初の種目でメダルが取れたことで肩の荷が下りた」と、晴れやかな表情で語った。

 昨夜はメールや短文投稿サイトのツイッターなどに300件近い祝福のメッセージが届き、複合の先輩の荻原次晴(おぎわら。つぎはる)さん(44)がテレビ番組で号泣したことも耳に届いた。「熱い応援に感謝したい。次晴さんが泣いたことで、複合チームが苦労してきたことが分かってもらえると思う」と話した。

 次戦は18日の個人ラージヒル(LH)。「金メダルに本当に近づいているという実感はある」と、日本複合陣悲願である個人種目での初の金メダルへ意欲を示した。(共同/SANKEI EXPRESS (動画))

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