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2013年はシェフ・ド・カーブのブレンド技術が輝く年 青木冨美子
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今年のシャンパーニュ地方は暖冬で雪が降らず、私が訪問した3月下旬も穏やかな陽光の日が続いていました。一方、昨年(2013年)は雨が多く、開花がだいぶ遅かったようで、7月にならないと花が咲かなかったため、収穫も9月末から10月初旬になった由。2012年に創業200周年を迎えた名門メゾン『ローラン・ペリエ社』のシェフ・ド・カーブのミッシェル・フォコネ氏は「この15年来、このような遅い収穫は珍しい」と語っていました。
シャンパンの顔といわれるのがノン・ビンテージ(NV)で、メゾンの特徴を表現している基本のタイプです。各メゾンでは2月から3月にかけて、前年に収穫したぶどうから造ったヴァン・クレール(シャンパンのベースになるワイン)を、各区画やぶどうごとに試飲し、それぞれの特徴をつかみながら、何種類ものヴァン・クレールをブレンドするNVシャンパン造りにかかりますが、毎年同じスタイル、味わいをキープしていかなければならないNVこそ、シェフ・ド・カーブの腕のみせどころです。
フォコネ氏は「例年だと区画やぶどうの特徴が読み取れるのですが、2013年は複雑な年だったので、シャンパン造りにおける過去の記憶や長年の経験をもとに分析。シャンパーニュの地形や日照度、土壌の具合、気候変動などをすべて読み込んだ上でブレンド作業をします」と言及。ローラン・ペリエ社の特徴は後味に残るエレガントさとフレッシュ感。2013年はまさにシェフ・ド・カーブのブレンドの力量、ブレンド技術が輝く年になると思います。(ワインジャーナリスト 青木冨美子/SANKEI EXPRESS)