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経済
日系勢、HV投入を加速 エコカーの主流に 北京モーターショー
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4月20日に開幕した北京国際モーターショーで、トヨタ自動車やホンダの日系勢がハイブリッド車(HV)の中国市場への投入を加速する姿勢をアピールしている。大気汚染が深刻な問題となっていることが背景だ。中国政府が、電気自動車(EV)などに限っていたエコカー購入補助金の対象をHVに拡大する検討を始めたことも追い風に、欧米勢との競争が激しい市場で攻勢をかけたい考えだ。
日中で共同開発した中国市場向けのHV試作車を世界初公開したホンダの倉石誠司中国本部長は、中国のエコカー市場で「HVが主流になる」と強調する。ホンダは環境規制の強化やHVへの補助金検討の動きを好機とみて、2年以内に中国国産のHVを投入する。
トヨタも主力車カローラなど2車種で中国国産HVを来年、投入すると発表した。トヨタはHVで世界をリードするが、中国での販売台数に占めるHVの割合は2%強(2013年)にすぎず、大西弘致中国本部長は「HVカローラなどの投入で一気に(流れを)変えたい」と意気込む。
トヨタは22日、昨年(2013年)完成した江蘇省常熟のHV研究開発拠点を報道陣に公開。幹部は「HVを買いやすくする」ことを目指し、部品の現地調達率を上げて原価を引き下げながら、品質も維持するための研究を急ぐ考えを強調した。
中国政府は20年に「新エネルギー車」と呼ぶエコカー認定車を累計500万台まで増やす目標を掲げているが、13年の新車販売台数約2200万台のうち、新エネ車の台数はわずか1万7600台とされる。「HVを対象に含めないままでの目標達成は困難だ」(日系メーカー幹部)。
EVの普及が難しい理由には、1回の充電で走行可能な距離がHVなどと比べて短いことや充電インフラの未整備がある。「広大な中国ではEVだけでは(エコカーの普及は)成り立たない」との指摘もある。
そうした中で3月末、馬凱副首相の発言が中国政府の政策転換として注目を集めた。HVへの補助金支給に、前向きな姿勢を表明したのだ。
EVの本格普及を目指す日産自動車は当面は静観の構えだ。日産と中国メーカーとの合弁会社、東風汽車有限公司の関潤総裁は(4月)20日、「HVの技術を持っているので(政府の対応を)横目で見ながら進めるが、今すぐにアクションは起こさない」と話した。
トヨタなどがHVの現地生産を進める背景には、技術を中国企業にも吸収させたいとの中国政府の要望に応えることで、ビジネス環境を良くしたいとの思惑もある。一方で、中国国内には、HVも新エネ車と認定して補助金の対象に含めれば、先行する日系メーカーを利することになるとの懸念も根強く、HV普及にはまだ曲折がありそうだ。(共同/SANKEI EXPRESS)