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危険察知し市街地スイスイ 「Google自動運転カー」進化

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危険察知し市街地スイスイ 「Google自動運転カー」進化

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米カリフォルニア州  米グーグルは、2017年の実用化を目指し開発中の自動運転カーについて、市街地での自動走行が可能になったと公式ブログで明らかにした。試験走行の場をこれまでの高速道路から、多くの自動車や歩行者が行き交う市街地の道路に移し、累計で約112万キロの無事故走行を達成した。一時停止せずに交差点に突入してくる恐れのある車を察知したり、蛇行運転のバイクから自ら離れるなど、コンピューターの学習による高度な危険回避能力を備えている。日本も含めた大手自動車メーカーが開発競争を繰り広げるなか、強みであるIT技術を駆使し、一歩先に抜け出した。

 警官の手信号も認識

 「ソフトウエアを市街地の道路用に改良し、歩行者や自転車、自動車、バス、信号、標識、警官の手信号まで数百の対象を同時かつ正確に認識できるようになった」

 グーグルの自動運転カープロジェクトの責任者クリス・アームソン氏は4月28日に公表した公式ブログで、自動運転カーの“進化”を強調した。ブログでは、目の不自由な男性がハンドルに全く手を触れずにドライブスルーでファストフードを購入し、クリーニング店で服を受け取り、自宅に戻るまでの動画も公開された。

 米メディアによると、グーグルは2009年からフリーウエー(高速道路)での試験走行を開始し、12年から本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューの市街地での試験走行に重点を移した。約112万キロの累計走行距離のうち市街地で約1万6000キロを走行し事故やトラブルはいっさい起きていないという。

 状況を予測し判断

 アームソン氏によると、「数千パターンの状況下で、今起きていることと、これから起こる可能性が高いこと、起こる可能性が小さいことを同時に予測できるように、コンピューターに覚え込ませた」という。

 例えば、警官や交通指導員が突然、「STOP」の交通標識を出しても、それを認識し停止できるという。十字路の交差点では、屋根の上に取り付けた360度見渡せるセンサーで周囲の状況を把握。交差点に他の車が高速で近づいてきた場合、その車が交差点の前で停止するのか、急ブレーキをかけて止まるのか、それとも、そのまま交差点を走り抜けるのか、その確率をそれぞれ計算し、自らの交差点への進入を判断する。

 このほか、前方の信号が青になっても、信号無視で突っ込んでくる車に備え、1.5秒間は発進しない。危険な運転をしているバイクのほか、大型トラックから自ら離れたり、他の車から見えにくい死角に入らないようにするなど、事故に遭う確率を低くする防護的な安全運転技術も備えている。

 メーカーにシステム提供

 開発を主導するグーグルの共同創業者、セルゲイ・ブリン氏(40)は米紙ウォールストリート・ジャーナルで、17年の実用化を改めて表明するとともに、自動車メーカーに自動運転システムを提供する考えを示し技術的な優位性を強調した。

 完全自動運転カーの実用化には、さらに複雑な交通状況への対応や法律の整備など課題は多い。最低15万ドル(約1500万円)ともされるセンサーやソフトのコスト削減も欠かせない。

 それでも、アームソン氏は「われわれを困らせていた市街地での走行が2年で可能になった」と、さらなる進化に自信をみせている。(SANKEI EXPRESS

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