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科学
超高速で飛ぶ宇宙ごみ、米に情報提供 安保協力深化
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2009年に米露の衛星同士が衝突した際には、大量の破片が散らばった。当時、欧州宇宙機関(ESA)が公表したイメージ図(AP) 日米両政府は5月6日、宇宙空間を漂う「宇宙ごみ」に関する情報を、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から米戦略軍に提供することで合意、体制構築に向けた文書を交わした。これまで米側が一方的に提供してきた情報を、日本側からも恒常的に供与する仕組みが初めて整う。日米関係筋が明らかにした。
宇宙はサイバーと並ぶ国家安全保障の新しい領域。両政府は今回の合意を足掛かりに宇宙分野での情報共有を進め、将来的には防衛省から米側への情報提供体制も整備するなど、より重層的で広範な安全保障協力に深化させたい考えだ。
両政府は宇宙分野の協力策を話し合う第2回包括対話を9日にワシントンで開くことも決めた。宇宙ごみの監視協力のほか、3月に初めて実施した宇宙を利用する海洋監視の机上演習の成果を踏まえ、今後の取り組みを協議する。
宇宙には運用を終えた人工衛星やロケットの部品など、無数の宇宙ごみが秒速7~8キロの超高速で飛んでいる。
総数は2007年の中国による衛星破壊実験で飛躍的に増加、運用中の衛星に衝突する危険もあり、宇宙での活動の障害となっている。
JAXAは財団法人「日本宇宙フォーラム」が管理する岡山県井原市の光学望遠鏡と、岡山県鏡野町(かがみのちょう)のレーダーで宇宙ごみを観測、解析している。合意により、米側のレーダー網では位置的に捕捉しにくい宇宙ごみの軌道などに関する情報を米側に迅速に提供することが可能になる。
宇宙ごみの監視をめぐり両政府は昨年(2013年)5月、米側からの情報提供に関する取り決めを締結。日本側からの情報供与についても検討を進めていた。
日本政府は宇宙ごみの情報を米国に提供する今回の合意を、相互補完的な日米安全保障協力への布石と位置づけている。「片務的」と指摘される同盟関係からの脱却を目指す安倍晋三首相の姿勢が背景にあり、宇宙は日本が貢献できる重要な分野になるとみている。
宇宙開発をロシアとともに先導してきた米国は財政難に直面。一方で中国は昨年、無人探査機の月面着陸を成功させるなど米露を猛追している。
米政府にとっては経費負担を共有するとともに、衛星が破壊された場合など安全保障上のリスク分散という観点からも、宇宙技術を蓄積してきた同盟国の日本は貴重なパートナーだ。
こうした思惑が安全保障での対米貢献策を模索する安倍政権と合致、宇宙からの海洋監視では3月に初の机上演習を実施するなど、日米の宇宙協力は急進展している。
ただ宇宙に関する情報でも米国の圧倒的優位は変わらない。日本政府筋は今回の合意を「ささやかな一歩」と指摘、時間をかけて日本の貢献を積み重ねたいとしている。(共同/SANKEI EXPRESS)