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熱いぞ!学生居酒屋(下) 「30歳で10店舗」 広がる夢に挑む

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熱いぞ!学生居酒屋(下) 「30歳で10店舗」 広がる夢に挑む

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学生居酒屋「酒笑(さかわ)_松原団地店」の斎藤悠輔店長=2014(平成26)年、埼玉県草加市(5大学合同_有志学生記者撮影)  【Campus新聞】

 ≪「酒笑 松原団地店」斎藤悠輔店長に聞く≫

 埼玉県草加市にある学生居酒屋「酒笑(さかわ) 松原団地店」は2012年10月にオープンした。店長を務めるのは、獨協大学4年生の斎藤悠輔さん(23)だ。

 独自サービス考案

 斎藤さんは入学当初から、大学を盛り上げる活動を行う学生団体に所属。獨協大初となる体育祭の企画・運営などを行ってきた。体育祭は大盛況で、後輩たちの手で継続して企画されている。

 しかし、大学内での活動は制限も多く、自由な企画はできない。「昔から漠然と起業したいと思っていた」という斎藤さんの目は学外に向けられた。「大学生のニーズは何だろう」と考えた時、思い浮かんだのが「飲み会」だった。

 「そうだ、居酒屋をやろう」。早速、学生居酒屋「酒笑 埼玉大学店」と学生居酒屋「あるばか」を訪ねた。すると、酒笑が獨協大学の近くに店舗を増やそうと考えており、いきなり経営を任されることになった。

 偶然が重なり、開店まではトントン拍子で進んだ。だが、現実は甘くなかった。マニュアル通りにやっても客が入らないのである。埼玉大学店で通じたことが、通じない。

 そこで、獨協大学のサークルをターゲットにした独自のサービスを考案した。「獨協サークルフルオーダーメイドプラン」と名付けたサービスは、フードやドリンクのほか、音響・映像設備を使ったイベントなどの要望に対応するもので、貸し切りで店を利用してくれる常連サークルを確保しようという戦略だ。

 次は「多国籍」

 それでも経営は厳しく、開店1年後の昨年(2013(平成25)年)9月には店をたたむことも考えたという。それでも奮起し、学生従業員のがんばりもあり、徐々に軌道に乗ってきた。現在では、来年(2015(平成27)年)4月に3号店をオープンする計画も進めている。

 新店舗のコンセプトは「多国籍学生居酒屋」だ。斎藤さんはこの夏、自ら世界一周の旅に出て、各国の家庭を訪ねて家庭料理を食べ歩き、レシピを作成するという。

 そして、「30歳には10店舗に拡大したい」と、さらに大きな夢を掲げている。学生居酒屋のチェーン展開という挑戦が、ここから始まる。

 【ガイド】

 ■学生居酒屋「酒笑(さかわ) 松原団地店」 <住所>埼玉県草加市草加3の3の37。(電)080・6024・3550

 【編集後記】

 ■学生の底力を見せつけてやろう

 今回の取材は、「酒笑 松原団地店」を会場に、2人のゲストを招き、飲食業に興味のある学生が参加するフォーラムの形で行った。

 あるばかの丹木茜(たんぎ・あかね)さんと、酒笑の斎藤悠輔さんから、飲食店を起業・運営することの醍醐味(だいごみ)や楽しさや喜びとともに、苦労を経験に基づいて話してもらった。

 開催場所が実際に学生が経営する酒笑の店内だったため、参加者は、その雰囲気を直に感じながら学ぶことができた。

 あるばかと酒笑は、経営方法や顧客層は全く異なっているが、どちらも「学生の力を存分に発揮できる場所を自分たちで作ろう」という思いは共通していた。斎藤さんは「大学の授業は具体的にアウトプットする機会がないが、学生居酒屋を起業したことで、お金がどう動くのかなどを実感しながら学ぶことができた」と話してくれた。あるばかの丹木さんは「働くことが楽しいと思える環境を作りたいと考えて取り組んだ。あるばかをきっかけに、沖縄で店を出した人もいる」と言った。

 「学生でもこんなことができるんだということを伝えていきたい」。そう考える2人の目はキラキラと輝いていた。

 イベントを開いた私たちとしても、学生起業家と起業を目指す学生が交流しお互いを刺激し合えるような、こうした機会を今後も企画していきたい。そして、ゆくゆくは日本全体を活気づけ、「学生の底力を見せつけてやろう」と思っている。

5大学合同 有志学生記者

<取材・記事・写真>

渡邉宗一郎(早稲田大学4年)、中村遼歩(明治大学4年)、清水千尋(帝京大学4年)、門馬旭彦(獨協大学3年)、金子嵩尚 (東洋大学2年)

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