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大麻歴不問 FBI、“善玉ハッカー”採用の基準緩和検討 

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大麻歴不問 FBI、“善玉ハッカー”採用の基準緩和検討 

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米国で毎年開かれているハッカーたちの国際会議「デフコン」で、ハッキング技術を競う参加者。善玉ハッカーは引く手あまただ=2010年7月30日、米ネバダ州ラスベガス(AP)  サイバー犯罪・テロが多発するなか、米連邦捜査局(FBI)が、捜査の強力な戦力として欠かせない“善玉ハッカー”を雇うため、採用基準の緩和を検討している。優秀なハッカーの多くにマリフアナの使用歴があるためで、ジェームズ・コミー長官(53)は過去3年以内に使用歴のある者の採用を禁じた基準を見直すと表明した。法を守るFBI長官の発言だけに物議を醸しているが、世界各国の捜査当局や情報機関もハッカーの採用や養成を積極化しており、手をこまねいているわけにはいかない。

 面接前も吸いたがる

 「サイバー犯罪に対抗するためには優秀な人材を採用する必要があるが、候補者である若者の中には面接試験に来る途中ですら、マリフアナを吸いたがる者がいる」

 コミー長官は5月19日にニューヨークで開かれた知能犯罪に関する会合でこう語り、FBIの採用基準の見直しについて、「まさに今、取り組んでいる最中だ」と明言した。

 さらに、ある参加者が友人がこの採用基準のためFBIの面接を受けることに二の足を踏んでいると発言すると、長官は「たとえ彼がマリフアナ愛好家であったとしても、採用試験に申し込み、それは受理されるべきだ」と答えた。

 発言が米メディアで一斉に報じられると、さすがにまずいと思ったのか、コミー長官は21日、上院公聴会で「自分にユーモアのセンスがあることを知ってもらいたかっただけで、基準を変えるとは言っていない」と火消しに回った。だが、見直し発言は長官の偽らざる本音だろう。

 ライバルCIAと差

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)などによると、FBIは今年、議会から職員2000人の増員を認められ、新規採用者の多くをサイバー犯罪の担当部署に配属する計画だ。ところが、ハッキングに精通した優秀なプログラマーの多くにマリフアナ吸引などで摘発された犯歴があり、思うように採用が進まない事態に直面した。

 薬物犯罪も捜査するFBIは、連邦政府機関の中でも薬物使用歴に関して最も厳しい採用基準を設けており、マリフアナは3年以内、他の違法薬物は10年以内に使用歴のある者は雇えない。

 これに対し、米中央情報局(CIA)は、応募前の1年間に違法薬物の使用歴がなければ雇うことができ、FBIは「採用競争力」で大きく見劣りするのが実情だ。

 高いスキル不可欠

 一方で、サイバー犯罪は激増し、その手口はどんどん高度化している。中国など“敵対国”からのサイバー攻撃への対処も求められている。

 コミー長官の発言が飛び出した19日には、FBIなどの捜査に基づき米司法当局が、中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊に所属する将校5人を起訴した。さらに同じ日にFBIは、世界100カ国で50万台以上が被害に遭ったパソコン遠隔操作事件で欧州捜査当局と協力し97人を逮捕したことも明らかにした。

 こうした事件の捜査では、ハッキングされたコンピューターからたどって行き犯罪者を割り出す高度なスキルを持つ人材が不可欠。防御システムの構築にも、侵入手口に精通したハッカーなら大いに役立つ。

 「給与水準の大幅な引き上げが必要」「最強の味方となり得るサイバー犯罪者の採用も検討すべきだ」といった声もあり、ハッカー争奪戦の激化は必至だ。(SANKEI EXPRESS

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