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「SIMロック」解除義務化を正式決定 クーリングオフ導入 料金下げ期待 格安業者に乗り換えも

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「SIMロック」解除義務化を正式決定 クーリングオフ導入 料金下げ期待 格安業者に乗り換えも

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携帯大手3社のSIMロック解除によって、格安スマートフォンの普及が加速しそうだ=2014年5月2日、東京都千代田区・ビックカメラ有楽町店(芳賀由明撮影)  総務省は7月14日、携帯電話大手に対し、スマートフォン(高機能携帯電話)などの携帯端末を他の通信会社で使えないように端末に制限をかける「SIMロック」の解除を2015年度にも義務付ける方針を正式に決定した。大手による寡占を解消する狙い。料金引き下げにつながる可能性もある。対象となる端末や解除方法などの詳細は年内にまとめる。

 この日の有識者検討会で、総務省が6月末に示した案が承認された。SIMロック解除の義務化のほか、契約から一定期間内であれば無条件で解約できるクーリングオフ制度の導入も正式に決まった。

 SIMロックの解除やクーリングオフ制度は、契約をめぐる消費者の不満解消だけでなく、健全な競争環境の確保に向けた取り組みとして注目されている。今後は情報通信審議会でも議論を続ける。

 携帯電話会社は利用者のネットワークへの接続を認証するため、電話番号などの情報を記録したICカード「SIMカード」を発行している。携帯大手は自社のSIMカードにしか反応しないように設定した端末を販売することで、利用者を自社サービス内に囲い込んできた。

 これまでの議論では、「海外旅行の際に現地国のSIMカードに差し替えて自分の端末を使うことができない」「新規利用者を獲得するための多額の現金還元の一因となっている」といった問題が指摘されていた。

 ≪料金下げ期待 格安業者に乗り換えも≫

 総務省が携帯電話大手にSIMロック解除を義務付ける方針を決定したことで、今後の議論の焦点は対象となる端末や、契約からSIMロックを解除できるまでの期間など、具体的な問題へと移った。端末の販売方法や競争環境に大きく影響を及ぼす可能性があるだけに、携帯各社は今後の議論の行方を注視する。

 今回の決定について、調査会社、MM総研の横田英明取締役は「高止まりしていた料金の引き下げが期待でき、消費者にとっては喜ばしい政策だ」と評価する。

 SIMロック解除については、総務省は2010年に「SIMロック解除に関するガイドライン」を策定。携帯各社に対して主体的に解除に対応するよう求めてきた。

 だが、消費者に人気の米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」では、アップル側から携帯各社に販売数量に対する縛りがあることが足かせとなって、全社が解除を見送るなど、海外に比べて対応が遅れている。

 NTTドコモとソフトバンクモバイルはアイフォーンを除いた一部機種で解除に応じているものの、手数料として3000円がかかることもあり、「実際には(解除の)需要はほとんどない」(ソフトバンクの孫正義社長)状態だ。

 しかし今後、義務化の対象に市場の人気機種が含まれれば、こうした状況は大きく変わる可能性がある。

 横田氏は「(通信回線を借りて割安なサービスを提供する)仮想移動体通信事業者(MVNO)に利用者が流れやすくなる」と指摘。その上で、「通信事業者が回線だけを提供する“土管”になりやすくなり、独自サービスによる差別化が難しくなる」とみている。(米沢文/SANKEI EXPRESS

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