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経済
ガソリン高騰、家計と企業に負担じわり 12週連続値上がり 170円に迫る
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ガソリン価格高騰で都内ではレギュラー1リットル170円を超えるスタンドも=2014年7月16日午前、東京都文京区(三尾郁恵撮影) ガソリン価格の上昇が止まらない。イラク情勢の悪化などを受けた原油高で、今週のレギュラー価格(7月14日)は12週連続で値上がりし、1リットルあたり170円に迫った。リーマン・ショックがあった2008年9月末以来、約5年10カ月ぶりの高値水準だ。ガソリン価格の高止まりが続けば、夏の行楽で車での遠出が増える家計や、運輸業界など企業活動にも悪影響が及びかねない。
経済産業省資源エネルギー庁が7月16日発表した(7月)14日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、前週(7月7日)と比べて20銭高い169円90銭となった。トラックの燃料などに使われる軽油も前週に比べ20銭高い147円60銭と13週連続で値上がりし、約5年9カ月ぶりの高値水準となった。
価格上昇の原因は原油高だ。イラク情勢の悪化によりアジアで指標となるドバイ原油は、6月23日に1バレル当たり111.7ドルと、今年2月初めにつけた直近の安値に比べ約10ドルも上昇。石油元売り各社は原油の輸入コストの上昇分を卸売価格に上乗せし、ガソリンスタンドでの店頭価格にも遅れて反映されている。
ガソリン価格の上昇は家計を圧迫しかねない。消費税増税前に比べレギュラー価格を10円引き上げて1リットル=171円で販売する都内のガソリンスタンドのスタッフは、「前年に比べて明らかに客足が鈍くなった」と肩を落とす。満タンではなく、1000円や2000円というように定額分だけ給油する客も増えているという。
企業活動にも影響が及ぶ。引っ越しなどに使うトラックの燃料として主に軽油を使う日本通運は、足元の軽油の調達価格が4月と比べ5%程度上がった。広報担当者は「利益面にも影響が出てくる」と話す。
日通の場合、企業間物流では荷主である企業と年間など一定期間の運賃契約を結ぶことが多い。このため軽油価格の上昇がすぐに運賃に反映されるわけではないが、それでも上昇傾向が続けば「(値上げを)お願いすることはあり得る」という。
ただ、ガソリン価格は今後も一本調子で上昇するわけではなさそうだ。高水準ではあるものの、足元で原油価格が下落しているからだ。緊迫するイラク情勢への楽観的な見方が広がり、供給懸念が後退。7月8日~14日平均のドバイ原油は1バレル=106.1ドルと前週に比べ2.12ドル下落した。
このため調査した石油情報センターは、来週のガソリン価格について「下落が見込まれる」と分析。ただ、卸売価格の値上げ分を十分に転嫁しきれていないガソリンスタンドがあるほか、需給も引き締まっており、値下げ幅についてセンターは「小幅にとどまるだろう」とみている。
ガソリン価格高騰には政府も神経をとがらせている。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の効果が地方や中小企業にまで十分波及する前に、消費税増税に加えガソリン価格の高騰が続けば、日本経済の足を引っ張りかねないからだ。ガソリン価格が一定以上の水準で上昇した場合に自動的に税率を下げる制度として「トリガー条項」があり、このまま価格高騰が続けば、発動を求める声が上がる可能性がある。
トリガー条項は、ガソリン価格が1リットル当たり160円を3カ月連続で超えると発動される。ガソリン税の上乗せ税率分約25円の課税を停止し、3カ月連続で130円を下回るまで解除されない仕組みだが、東日本大震災の復興財源の確保に支障をきたすとして発動は凍結されている。
ただ、仮にトリガー条項を発動すれば、年間約1.8兆円も税収が減ると見込まれている。経済成長と財政再建の両立を目指す安倍政権にとって解除は難しいとみられる。茂木(もてぎ)敏充経済産業相(58)も今月(7月)11日の会見で「トリガー条項をすぐに適用することは考えていない」と否定的な見方を示した。(SANKEI EXPRESS)