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スカイマーク 「A380」購入白紙に エアバスが解除通告、大手傘下入り要求

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スカイマーク 「A380」購入白紙に エアバスが解除通告、大手傘下入り要求

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 欧州の航空機大手エアバスは7月29日、国内第3位の航空会社スカイマークから受注していた世界最大の旅客機「A380」6機について購入契約を解除すると伝えたと発表した。スカイマークは業績が悪化しており、購入代金の支払い能力に懸念があると判断したとみられる。これに対しスカイマークは十分な話し合いが持たれていないとして、購入契約見直しの協議の継続を求めていく考えだ。

 スカイマークは、6機のA380を約1915億円で購入する予定だった。だが、円安に伴う燃料費高騰や格安航空会社(LCC)の相次ぐ参入による競争激化が響き、2014年3月期決算は5年ぶりに最終赤字に転落し、A380の購入代金の調達が厳しくなった。

 このためエアバスとの間で今年4月から、キャンセルを含む購入契約の見直しを協議してきたが、29日に東京都内で記者会見したスカイマークの西久保慎一社長(59)は「条件の折り合いがうまくいかなかった」と説明した。(7月)27日に、エアバスからファクスで購入契約解除の通知を受けたという。

 スカイマークは、購入予定だった6機のうち2機は受け取り時期をずらし、残りの4機は無期延期にしたいとの考えを伝えていたとした。だが西久保社長によると、エアバスは購入契約の見直しの条件として大手航空会社の傘下に入ることを要求。それを拒否してキャンセルした場合は「常識を逸脱した法外な違約金を提示した」としている。

 A380はスカイマークが導入すれば、国内航空会社で初めてのはずだった。

 ≪低い資金調達能力 国際線参入見直し≫

 「身の丈以上」

 スカイマークが欧州航空機大手エアバスから超大型旅客機「A380」の購入契約の解除を通告された。最大の要因は、スカイマークの「資金調達能力(の低さ)」(西久保慎一社長)だ。円安に伴う燃料費の高騰を運賃に転嫁しきれず、2014年3月期決算も5年ぶりの最終赤字。西久保社長は記者会見で「どれだけ(資金を)調達できるのか不透明だったところにエアバスは不安感を持っていた」と振り返った。

 この結果、肝煎りだった国際線参入は文字通りの路線変更を余儀なくされる。当初はA380の初号機を10月に受け取り、12月にも同社初の国際線路線として成田-ニューヨーク線に就航させる計画だった。

 今後は、すでに導入済みのエアバスの中型機「A330」でシンガポールやハワイなどの中距離路線に乗り出すことで軌道修正を図る。

 そもそも、1996年に設立された新興のスカイマークは国内2大航空会社である日本航空やANAホールディングスに比べ、経営規模や資金力で大きく見劣りする。1機当たり300億円程度とされる超大型旅客機を6機も購入する経営判断には、当初から「身の丈以上」との指摘もあった。そこに、円安によるコスト増という想定外の事態が重なる。西久保社長は「環境変化を甘く見ていた」と認めざるを得なかった。

 関係修復は困難

 今後はエアバスとの関係修復を急ぐとしているが、先行きは厳しい。スカイマークは6機の購入代金の前払いとして265億円をエアバスに納めたが、「(手元に)戻る可能性はかなり薄い」(西久保社長)といい、特別損失として計上される公算が大きい。

 さらに今後は、エアバスから数百億円規模の違約金の支払いを求めて損害賠償訴訟を起こされる可能性もある。

 スカイマークは、割安な運賃を売りに国内路線を広げてきた。「ウチがなくなると(日本の)航空業界は10年前に戻ってしまう」。会見の最後で西久保社長はこう声を振り絞り、経営の自主性確保への意欲を強調したが、その視界は開けていない。(森田晶宏/SANKEI EXPRESS

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