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国内最高齢のハシビロコウ 不動のアイドル 何を見つめる
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「動かない鳥」として人気のハシビロコウ「ビル」=2014年7月1日、静岡県伊東市の伊豆シャボテン公園(尾崎修二撮影) 巨大なくちばしにつぶらな瞳。身じろぎもせずにカメラのレンズをにらみ続ける。伊豆シャボテン公園(静岡県伊東市)の“長老”として33年にわたり、鳥類展示施設「バードパラダイス」を見守ってきたハシビロコウの「ビル」(雄・推定年齢43歳以上)だ。
ハシビロコウはアフリカの湿地帯に分布、エサとなる魚が足元に来るまで息をひそめて待ち伏せる。場合によっては数時間、じっと水面を見つめて…。
そんな習性がテレビやインターネットで「動かない鳥」として紹介されて以来、じわじわと人気を集め、国内最高齢の「ビルじいさん」は今や押しも押されもせぬシャボテン公園の顔に。「ビルに会いに来た」という来園者は後を絶たない。
アフリカ生まれのビルは寒さが大の苦手で、冬場の気温が低い時期は来園者向けのイベント「お食事タイム」以外は小屋で過ごすことが多く、時間帯によっては会えない場合もあるという。
取材当日は朝からご機嫌で、担当職員が近づくと、それまで「動かない鳥」だったビルの様子が一変、巨大なくちばしでカタカタと音を立て、首をふりふり…。
これは、「クラッタリング」と呼ばれる行動で、自分の世話をしてくれる人に対し親しみを込めて、あいさつをしているのだとか。そう言われてみると、確かにお辞儀をしているように見える。
≪愛される「頑固なおじいちゃん」≫
自分の世話をする担当職員に対し、甘えるそぶりを見せたかと思えば、「近寄らないでね」とばかりに気難しげな表情でそっぽを向いてみたり。「頑固なおじいちゃん」だけど「愛されキャラ」といったところか。
「苦労したのは“ビルとの距離感”ですね」。そう話すのは、バードパラダイスでビルを担当して6年目になるという廣川真依さん。初めの頃は「お前は誰?」とでも言いたげな顔で相手にしてもらえなかったのだとか。「まさに“長老の洗礼”でした」と笑う。
今では、冬場に乾燥してカサカサになった足に保湿クリームを塗るなど、女性ならではの細やかなケアをする廣川さんに、ビルも大満足な様子。
1981年の来日時に推定10歳だったというビルは、今年で推定43歳以上。ハシビロコウの寿命は詳しくは分かっていないため今後が気になるところだが、当の本人は、そんなことを気にしているようには見えない。きっとこれからも「動かない雄姿」でファンを楽しませてくれることだろう。(写真・文:写真報道局 尾崎修二/SANKEI EXPRESS)