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国際
WHO、未承認薬を条件付き容認 エボラ出血熱 死者1000人超す
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シエラレオネ南東部ケネマの病院で8月9日、防護服を着て作業する医療関係者=2014年(AP) 世界保健機関(WHO)は8月12日までに、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱による死者(疑い例を含む)が4カ国で計1013人に達したと発表した。各国は感染地域に治安部隊を派遣するなど封じ込めに努めているが、過去最悪の感染に歯止めがかかる兆しは見えない。
感染地域諸国の医療制度が非常に脆弱なことが拡大に拍車をかけている。状況改善に向け、国際社会の支援強化が急務になっている。
WHOによると、(8月)9日までに感染が確認されたか疑われる患者は計1848人。うち死者はギニア373人、リベリア323人、シエラレオネ315人、ナイジェリア2人。
日本の国際協力機構(JICA)は12日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国に派遣している日本人スタッフ24人を一時的に退避させることを決めた。
WHOは12日、エボラ出血熱の感染者に、開発段階の未承認治療薬を条件付きで使用することを容認する考えを明らかにした。西アフリカで感染した米国人らに臨床試験を経ていない治療薬が投与され、症状が改善したとも報じられ、感染地域の国から使用を求める声が上がっていた。専門家によると、今回の感染を起こしているウイルスは「ザイール株」とされ、過去の致死率は約80%。死者はさらに増える恐れがある。
感染は昨年(2013年)12月にギニアで始まった。徐々に地域が拡大し今年6月中旬からリベリア、シエラレオネの死者が急激に増え、2カ月間で約800人が亡くなった。
WHOは(8月)8日、今回のエボラ感染は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると宣言。世界各国の協調した対応を促している。
感染者の空路移動による感染地域拡大の懸念も高まっている。リベリアで感染した米国籍男性が7月下旬にナイジェリアに移動後に死亡。
欧米や中東、アジア各国は水際で阻止しようとエボラ熱に似た症状の患者を隔離、検査している。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪効果未知数、大量生産難しく≫
WHOが条件付きで使用を容認した開発段階のエボラ出血熱治療薬は、感染した米国人に既に投与されている。期待は高いが、実際の治療効果の有無がまだ分からず、大量生産が難しいため、西アフリカの流行封じ込めに役立つか未知数だ。
医療倫理の専門家からは、アフリカで多くの人が死ぬ一方で、米国人らに優先して投与することの問題点を指摘する声も上がっている。
リベリアで感染した米男性医師らに使われた薬は「ZMapp」。感染直後のサルに投与すると死亡率が下がったが、人への投与は初めて。米国に帰国した医師が歩いて病院に入る姿がテレビで放映されると製薬関連企業の株式が高騰。米メディアは薬に含まれるマウス抗体を植物のタバコの葉を使って安価に生産する技術なども紹介した。
感染したリベリア人医師の治療のため、米製薬企業からリベリア政府にZMappが供与されることも決まった。
日本企業が開発したインフルエンザ治療薬を、エボラ熱に使うための承認手続きを米当局が急いでいることも報じられた。ウイルスの遺伝子複製を邪魔するためエボラ熱にも効果が期待できるという。
だが、ZMappが実際の治療で効果を上げるかは不透明だ。
米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は「わずかな事例で効果や害は判断できない」と指摘。新薬の実用化には「数カ月から1年かかる」との見通しを示した。
ZMappなどの抗体医薬は高価で大量生産が難しく、冷温管理などが必要。
医療インフラが脆弱な西アフリカの現場に行き渡る望みは薄い。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪スペイン人男性死亡≫
フランス公共ラジオによると、西アフリカのリベリアでエボラ出血熱に感染し、本国に搬送されていたスペイン人男性(75)が8月12日、マドリードの病院で死去した。アフリカ以外の場所でエボラ熱感染者が死亡するのは初めて。
男性はカトリックの司祭で、リベリアの宗教系病院で活動していた。(共同/SANKEI EXPRESS)