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「英雄」も犠牲 医師襲うエボラ 医療関係者100人感染 半数死亡

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「英雄」も犠牲 医師襲うエボラ 医療関係者100人感染 半数死亡

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エボラ出血熱の流行が疑われる国=2014年4月8日現在  エボラ出血熱が猛威を振う西アフリカのシエラレオネで、シェイク・ウマル・カーン医師(39)が7月29日、感染によって死亡した。国際医療支援団体「国境なき医師団」(MSF)が明らかにした。カーン医師はエボラ対策の陣頭に立ち、これまでに100人以上の患者を治療。シエラレオネで「国民的英雄」とたたえられていた。リベリアでも医療当局の医師が死亡したほか、ギニアでは米国人医師が感染。世界保健機関(WHO)によると、この3カ国の死者は672人に達したが、医療関係者の感染は約100人に上りうち半数が命を落とした。医師らは感染リスクに身をさらしながら懸命の治療を続けている。

 「エボラ出血熱のわが国唯一の専門家である彼の死は、取り返しの付かない損失である」

 シエラレオネ保健当局の責任者ブリマ・カーボ医師は声明でカーン医師の死を悼んだ。

 完全防護で治療も

 ロイター通信などによると、カーン医師は東部のケネマにあるエボラ治療センターのトップとして、患者の治療や隔離を指揮していた。

 今月(7月)23日に感染が確認され、首都フリータウンにあるMSFの医療施設に運ばれ治療を受けていた。入院時にはミアタ・カーボ保健相が「人々の命を救うために多大な犠牲を払った国家の英雄だ」と称賛し回復を祈っていたが、救えなかった。このセンターでは(7月)20日にも看護婦3人が亡くなっている。

 感染経路は不明だが、治療に当たる医師らは全身を覆う防護服やマスク、手袋、長靴を着用し、細心の注意を払っている。

 カーン医師も6月下旬に、ロイター通信の取材を受けた際、「自分の人生を大切にしているから、最大限のチェックをしている」と話し、自分のオフィスに、“警察官”と名付けた大きな鏡を取り付けたことを明かしていた。隔離病棟に入る前に、防護服に穴が開いていないか調べるためだ。

 だが、エボラはそんな医師たちの命を次々に奪っている。カーン医師が亡くなる2日前には、リベリアの医療当局者でもあるサミュエル・ブリスベーン医師が感染で死亡。さらにリベリアでボランティアとして治療に参加していた米国人のケント・ブラントリー医師(33)も感染が確認された。隔離病棟で治療を受けているが、重篤な状況という。

 拡大の一途

 今年2月にギニアから始まった今回のエボラ出血熱の感染は拡大の一途だ。(7月)25日にはナイジェリアで米国籍の40歳の男性の感染が確認され、感染国が4カ国に増えた。そのため隣接するリベリアが29日、国境封鎖に踏み切るなど、周辺国も対策に躍起となっている。米疾病対策センター(CDC)も28日、「エボラウイルスが山火事のように広がる恐れがある」との警告を発した。

 「われわれ医療従事者は、一番最初に感染者と接触する。完全な防護服を着ていても感染リスクから逃れられない」

 生前、カーン医師は感染への恐怖を吐露していた。医師らの命懸けによる早期治療の効果もあり、最大90%に達する致死率は60%前後に抑えられている。(SANKEI EXPRESS

 ■エボラ出血熱 致死率が最大90%に達する急性ウイルス性感染症で、下痢や嘔吐(おうと)、高熱に加え、皮膚などからの出血が特徴。コウモリやゴリラ、チンパンジー、ヤマアラシなどの野生動物が感染源とされ、血液や汗、排泄(はいせつ)物などを介し人から人に感染する。今回の大流行では約1100人が感染し過去最悪の規模に達している。

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