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健康長寿のために歯を守る 大和田潔
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歯医者さんに、「歯の神経を抜きましょう」と言われることがあります。歯の神経は、歯髄と呼ばれる歯の中心部の柔らかい部分に存在しています。骨でいう骨髄のような場所です。その周りを象牙質がおおい、一番外側をエナメル質という固い組織がおおっています。三層構造の歯は、上あごや下あごのくぼみである歯槽というところにうまくはまり込んでいます。
虫歯が進行して、外側の硬い組織を破られ歯髄にまで到達してしまうと、神経組織の刺激によって激痛になることがあります。また、外側の穴が小さくても歯髄の中で虫歯菌が繁殖して炎症を起こしていることもあります。こうした時には、「神経を抜く」という作業を行うことになります。歯科の先生におうかがいしたところ、糸のような神経を引っ張って抜くというよりも、歯髄を削りとってきれいにするという作業とのことです。
歯は生きている組織です。硬く、形も変えないため、ただそこに存在しているだけのように見えますが、きちんと生きた臓器です。例えば、「神経を抜いた」歯の色が変わってしまったり、もろくなったり、歯周病が悪化したりしてしまいます。歯髄に来ていた血流もなくなってしまうため、歯が死んでしまうためです。
こういった欠点を補うため、歯髄再生治療法という治療も試みられるようになりました。歯髄の中には、歯髄幹細胞と呼ばれるいろいろな組織になることができる細胞が含まれています。その人の親知らずの歯など、不要な歯を抜歯して歯髄幹細胞を取り出して培養します。次いで、病んで歯髄を清掃せざるを得なかった歯に移植します。すると、歯髄の中の血管や神経が再生されて、歯がよみがえるというものです。
歯周病菌が、糖尿病や動脈病変を悪化させることをコラムでとりあげたこともありました。歯の健康を保つことは、病気の予防だけでなく栄養の面からも大切なことです。歯の神経を抜かなくてはならないような虫歯を予防することや、歯周病を予防することは、健康長寿のための基礎となります。夏は、甘い飲みものや果物がおいしい季節です。歯磨きをして、歯を健康に保ちましょう。(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)