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野党再編 「お家事情」で展望開けず 「維新の党」 議員53人で発足
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「維新の党」の結党大会で気勢を上げる共同代表の橋下(はしもと)徹氏(前列中央)、江田憲司氏ら(前列右端)=2014年9月21日午後、東京都港区(蔵賢斗撮影) 日本(にっぽん)維新の会と結(ゆ)いの党の合流による新党「維新の党」が21日、東京都内のホテルで結党大会を開いた。所属国会議員は53人(衆院42人、参院11人)で、民主党に続く野党第二党となる。野党再編の軸を目指し、民主党などに連携を呼び掛ける。
代表には旧維新の橋下(はしもと)徹代表(45)=大阪市長=と結いの江田憲司代表(58)が就任した。結党から1年間は共同代表制をとる。結党大会で橋下氏は「改革勢力の結集に向け本気のメンバーを集める。安倍晋三政権の対抗軸をしっかり示す」と訴え、江田氏は「政策の一致を前提として(野党を)どんどん糾合していかなければ安倍政権に対抗できない」と意気込みを述べた。
幹事長には松井一郎大阪府知事(50)、総務会長に片山虎之助参院議員(79)、政調会長に柿沢未途(みと)衆院議員(43)がそれぞれ就任した。党本部の代表の1人と幹事長を非国会議員が務める旧維新の体制を踏襲した。党本部は東京と大阪に置くが、主たる党本部は大阪とする。みんなの党に離党届を出していた大熊利昭衆院議員(51)の入党が21日、認められた。
結党大会に先立ち、結いは解党を決定した。手続き上は、解党した結いが旧維新に合流し、党名を変更する。「日本維新の会」は結党から約2年、結いは約9カ月の活動に幕を閉じた。
≪野党再編 「お家事情」で展望開けず≫
新党名をめぐる対立など数々のハードルを乗り越え、日本(にっぽん)維新の会と結(ゆ)いの党は21日、ようやく新党「維新の党」の結党大会にこぎ着けた。だが、政府・与党との立ち位置や国家観にはなお距離がみられ、懸念材料は抱えたままだ。新党が目指す安倍晋三政権に対抗する野党再編も、他の野党がそれぞれの事情を抱えており、見通しは立っていない。
「政府・与党に緊張感を持ってもらうためには、きちんとした野党をつくる必要がある。これは維新、結いの一番の根幹の思いだ」
新党の共同代表に就いた橋下(はしもと)徹氏は結党大会でこう語り、安倍政権とは「是々非々」の関係で臨む考えを示した。
一方、元結い代表の江田憲司共同代表は安倍政権への協力姿勢をほとんど打ち出さず、ひたすら野党の結集を前面に出すことを訴えた。江田氏は、大会終了後の記者会見で「橋下氏と私の考えは全く一致している」と強調したものの、上京のたびに菅義偉(すが・よしひで)官房長官(65)らとの会談が常態化している橋下氏との間で、対安倍政権の足並みがそろっているとは言い難い。
所属議員数で勝る「維新主導」の動きにも結い側は警戒心を完全には解いていない。維新側は当初「国会議員組織の役員会に党本部役員は出席させない」との規定を盛り込む予定だったが、国政に関わる権限の低下を懸念する江田氏側から激しい抗議を受け、再検討を余儀なくされた。
維新、結いの溝は、結党大会の会場でもみられた。結党大会の壇上には国旗が置かれ、大会に先立つ結いの臨時党大会に国旗はなかった。新党の綱領には「統治機構改革で『この国のかたち』を変える」と盛り込んだが、憲法改正など国政の根本的な課題での相違は対立に発展しかねない。
両者の共通点は綱領にも掲げた「改革勢力の結集」であり、さらなる野党再編の必要性では一致している。結党大会には民主、みんな、生活各党の代表から祝電が届き、橋下氏は記者会見で「政権を一度担った民主党のメンバーに旗を振ってもらいたい」と、なおラブコールを送った。
しかし、対与党の選挙協力には前向きな民主党も、野党再編は「必ずしも一つの党にまとまるということではない」(岡田克也代表代行)と「自主再建」に重きを置く姿勢を崩さない。海江田万里(かいえだ・ばんり)代表(65)が意欲を示す生活との統一会派の結成すら進展せず、野党再編にどこまで本気で取り組むかは不透明だ。
かつては「第三極」勢力として維新と友好関係にあったみんなの党には、昨年12月に分裂した旧結い勢力への遺恨が根強い。加えて今月に入り、野党再編の選択肢を残したいとする浅尾慶一郎代表(50)と、「与党再編」を志向する渡辺喜美(よしみ)前代表(62)との間で対立が深刻化し、党の存続さえ見通せない状況だ。
旧維新と分裂し、8月に発足した次世代の党は安倍政権への協力姿勢を強めており、各党のお家事情は“共闘”を難しくしている。(内藤慎二/SANKEI EXPRESS)