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【御嶽山噴火】眠れぬ一夜 「命あるだけで…」

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【御嶽山噴火】眠れぬ一夜 「命あるだけで…」

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御嶽山(おんたけさん、標高3067メートル)山頂付近の山小屋で救助活動する消防と自衛隊員ら=2014年9月28日午前11時52分、長野・岐阜県境(本社へりから、甘利慈撮影)  「命があるだけで本当に…」。長野・岐阜県境にある御嶽山(おんたけさん)で起きた噴火は一夜明けた29日、31人の心肺停止という甚大な被害が確認される一方、次々と登山者たちが救出された。山頂付近は硫黄濃度が高まる危険な状況だったが、自衛隊や警察、消防による懸命の救出活動が続いた。

 みんな一緒で不安なく

 山頂から北に2キロの岐阜県側の山小屋「五の池小屋」(標高2798メートル)にとどまり、眠れぬ一夜を過ごした登山客26人が28日午前9時15分ごろ、立ち上る噴煙を背に、岐阜県下呂(げろ)市の濁河(にごりご)温泉近くの登山口に次々と到着した。医師による簡単な健康チェックを受け、市が用意したバスに乗り込み、近くの施設に向かった。

 一様に疲れ切った様子で、その場に座り込む人の姿もあった。登山服やマスク、靴などは白っぽい灰にまみれ、くすんでいた。26人のうち、3人が高山赤十字病院(岐阜県高山市)に搬送され、このうち女性1人は鎖骨を折る重傷で出血もあり、登山道から直接、岐阜県警のヘリで運ばれた。

 休憩先の施設では、下山した小学生の男児が、出迎えた家族らと涙を流して無事を喜んだ。岐阜県本巣(もとす)市の女性(31)は「真上から大きな石が降ってきて死を覚悟したが、山小屋ではみんな一緒だったので不安はなかった」と話した。

 長野県側の黒沢登山口から約10キロ麓の木曽町三岳交流促進センターに設けられた臨時宿泊所では、噴火後に自力で下山した40人の登山者らが一夜を明かした。大広間で雑魚寝状態だったといい、山頂付近で被災した愛知県豊川市の男性会社員(52)は「ほとんど寝ていない。周囲に火山灰に埋まった人がたくさんいたのに、助けられなかったので…」と目を伏せた。

 埼玉県川口市の黒須康弘さん(41)は大きなリュックを背負い、登山靴は灰で汚れたまま。「命があるだけで本当に…」と言葉を詰まらせ、「自分がいた所に、命が危ない人も残っていると聞いた」と心配そうに話していた。登山者らは28日正午までに、全員が町のシャトルバスやワゴン車に乗り帰路に就いた。

 搬送病院に家族ら続々

 一方、連絡の取れない家族の安否を確認するため、長野県外からセンターを訪れる人の姿もあった。28日午前10時ごろ、センターを訪れた若い女性は「父が…」と声を詰まらせた。噴火時に御嶽山を登山中だった父親と連絡が取れない状態が続いているが、センターの宿泊名簿に父の名はなく、戸惑った様子で足早にセンターを後にした。

 御嶽山の麓にある長野県立木曽病院では、正午前から患者が次々と運び込まれ、駆けつけた家族らは言葉少なに中へ急いだ。愛媛ナンバーの車で病院を訪れた男性は、憔悴(しょうすい)しきった様子で「息子はまだ打撲とやけどで済んだが、友人の一人は意識不明のまま」と話し、それ以上は問いかけに答えなかった。

 ≪「火砕流を伴う噴火 今後も起こりうる≫

 御嶽山の火山活動について検討するため、専門家らによる火山噴火予知連絡会(会長・藤井敏嗣(としつぐ)東大名誉教授)は28日、東京・大手町の気象庁で拡大幹事会を開き、会議後に記者会見した。噴火は水蒸気爆発で火砕流も発生したとの見解を示した上で「今後も火砕流を伴う噴火は起こりうる」と警戒を呼び掛けた。噴火の規模については、水蒸気爆発で二十数万トンの火山灰を噴出した1979年の噴火と同程度とした。

 予知連は「火砕流が南西に3キロ以上流下し、噴煙は東に流れて、高度は火口上約7キロと推定される」と説明。上空からの調査では、噴火は剣ケ峰山頂の南西側の火口列から発生したとみられ、大きな噴石が火口列から1キロの範囲に飛散しているのが確認された。

 火砕流は発生したものの、樹木などが焦げたような痕跡は認められなかったという。

 また、火山灰には新鮮なマグマに由来する物質は確認されず、噴火はマグマの熱が地中を伝わって地下水が沸騰し、圧力が急激に高まって爆発する「水蒸気爆発」だったと判断。噴火の11分前から発生した火山性微動は噴火後、振幅の大きい状態が約?分間続いたという。傾斜計では噴火の7分前から山側が隆起、噴火後からは山側が沈降するような変化が観測されたことも明らかにした。

 11日にも火山性地震が多発していたが、藤井会長は「大きな噴火だと兆候が明確に分かるが、今回の噴火の規模では予知することは難しかった」と述べた。(SANKEI EXPRESS

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