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【USA! USA!】(3) モンタナの絶景 馬上から一望
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馬の背に揺られながら、木々の合間の道を抜け、小さな丘をいくつか越えていく。山頂から振り返ると、雄大な平原が目の前に広がり、草が風になびいていた。
アメリカ合衆国の北西部に位置するモンタナ州のグレーシャー国立公園を訪ねた。州の名前はラテン語の“山の多い”に由来している。グレーシャー国立公園はカナダとの国境に沿った州北部にあり、ロッキー山脈北部のど真ん中に位置する。隣接するカナダのウォータートン・レイク国立公園と1932年に世界初の国際平和公園になり、国境をまたいだ自然保護の舞台になっている。1995年にはユネスコの世界自然遺産にも登録された。
国立公園内外では、さまざまなアウトドアアクティビティーが楽しめる。川ではフライフィッシングやラフティング、山ではマウンテンバイクやスキーなどが人気だ。
今回は国立公園南東部に隣接する先住民ブラックフィート族の居留地でホースライディングを楽しんだ。ガイドのトルーマン・ホールさん(75)が訓練した馬は初心者でも一人で乗ることができる。馬上では、高い視点から広大な景色を一望することができ、顔に当たる風が気持ちいい。
「馬は昔から輸送や狩猟など、モンタナでの生活に欠かせなかった。私の父や祖父は馬のブリーダーとして米軍に認められ、育てた馬を提供していた」。トルーマンさんは誇らしげに語った。
≪人々引き寄せる「大陸生態系の頂点」≫
グレーシャー国立公園のGlacierは「氷河」を意味する。国立公園一帯の地形は200万年とも言われる気の遠くなるような時間をかけて、少しずつ動く氷河に削られながら形成された。公園の総面積4101平方キロ。巨大な山々、深い渓谷、大小さまざまな氷河湖が点在する。1132種の植物と数百種の野生動物が命を育む大自然は「大陸生態系の頂点」と称されるほど豊かな環境だ。
そんな大自然を一目見ようと、年間約200万人もの観光客が公園を訪れる。園内には、1932年に当時約250万ドルもの費用を投じて完成した約83キロの観光道路「ゴーイング・トゥ・ザ・サンロード(太陽への道)」が整備され、自動車で標高2025メートルまで登ることができる。
この観光道路は自家用車でも走行できるが、今回はレトロな赤い観光バスに乗り込んだ。トンネルがほとんどないため、急カーブを曲がるたびに迫力ある景色が次々と目に飛び込んでくる。運が良ければ、断崖(だんがい)に立つマウンテンゴート(シロイワヤギ)やビッグホーンシープ(オオツノヒツジ)も見かけることができるそうだ。
道路の最高地点はローガンパスと呼ばれる大陸分水嶺(ぶんすいれい)の峠だ。これより東側に降った雨は大西洋に、西側に降った雨は太平洋にそれぞれ流れ注ぐ。その奥には、氷河に削られピラミッドのような威容を誇るクレメンツ山(標高2670メートル)がそびえる。
ローガンパスからクレメンツ山の山裾へは気持ちのいい遊歩道が延びている。遊歩道のまわりには氷河によって運ばれた岩、氷堆石(ひょうたいせき)がゴロゴロ転がっており、短い夏の間には高山植物の花々が咲き乱れる。園内でも人気のトレイルだ。
グレーシャー国立公園でバスの運転手兼ガイドを務めるメリーランド州出身のラリー・モッターさん(78)は「故郷の大西洋側と風景は違うが、なぜか懐かしい」と話す。ニューハンプシャー州出身のハイキングガイド、コリー・ハロウェイさん(40)は「大学で野外教育を学んだ。ここには勉強した知識を生かせる手つかずの自然が残っている」と笑顔を見せる。大学卒業後、グレーシャー国立公園が気に入って移住してきたそうだ。モンタナの自然は、訪れた人々を何度も引き寄せる魅力にあふれていた。(写真・文:写真報道局 鴨川一也/SANKEI EXPRESS)
成田空港からシアトル空港まで約9時間。さらに国内線で1時間飛ぶとグレーシャー公園国際空港に着く。デルタ航空では、足下がエコノミーよりも広いエコノミーコンフォート席もあるので、快適な空の旅を楽しめる。HP:delta.com
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