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日米ガイドライン中間報告 「周辺事態」削除 中国の脅威警戒 あらゆる事態対応

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日米ガイドライン中間報告 「周辺事態」削除 中国の脅威警戒 あらゆる事態対応

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「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」の再改定に向け、中間報告を決定した外務・防衛当局の局長級協議=2014年10月8日午後(共同)  日米両政府は8日、外務・防衛当局の局長級協議を開き、自衛隊と米軍の役割分担を定める「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」再改定の中間報告をまとめた。集団的自衛権の行使を容認した7月の閣議決定を反映し、自衛隊による米艦船の防護などを新たに追加。現行ガイドラインで主に朝鮮半島有事を想定した概念「周辺事態」を削除し、平時から有事にかけて切れ目なく対応する方針を示した。

 再改定する背景には、中国の急速な軍拡、米国のアジア太平洋重視戦略のほか、日本の集団的自衛権の行使容認で対米協力の幅が広がった事情がある。

 現行ガイドラインでは、(1)平時(2)日本に対する武力攻撃(有事)(3)周辺事態-の3区分で日米協力を定めたが、今回の中間報告では周辺事態を削除。平時以外のあらゆるケースを「緊急事態」として一括した。

 集団的自衛権の行使には直接触れず、「日本と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生」した場合の協力という、間接的な表現で説明。協力分野として、米艦防護などを意味する「アセット(装備品など)の防護」や、機雷除去などに相当する「海洋安全保障」といった12項目を並べた。

 ただ、安全保障法制に関する与党協議が進んでいないため、集団的自衛権の行使を前提とする具体的な協力のあり方は新ガイドラインで「詳述する」とした。

 一方、中間報告ではグローバルな日米協力として、国連平和維持活動(PKO)、テロ対策、海賊対処活動などで連携を強化することがうたわれた。オーストラリアなどを念頭に「地域の同盟国やパートナーとの三カ国間」の防衛協力も盛り込まれた。

 また、「新たな戦略的領域」として宇宙・サイバー空間での協力も明記した。

 ≪中国の脅威警戒 あらゆる事態対応≫

 日米両政府が8日にまとめたガイドラインの再改定の中間報告では、活動範囲や任務が広がり、防衛協力上の制約となっていた「地理的概念」が外れることが明確になった。米政府は再改定作業への評価を表明する一方で、中韓両国からは警戒の声が上がった。

 現行分類には限界

 前回、ガイドラインを改定した1997年と現在を比較すると、日本を取り巻く安全保障環境の大きな違いは、急速な軍拡と海洋進出を進める中国の存在だ。

 今回の新ガイドラインの中間報告でも、名指しこそ避けたが中国の脅威に対する危機感がにじむ。その最たるものが、主に朝鮮半島有事で対米支援を行うために生み出された概念「周辺事態」を撤廃した判断だった。

 「今回のガイドラインがどこかの大きな国(中国)を想定していたとしても、尖閣諸島(沖縄県石垣市)への武力攻撃事態だけを考えていればいいわけではない」

 ある交渉担当者は、再改定の狙いについてこう語る。中国を念頭に置けば、尖閣諸島に武装勢力を送り込むような事態に始まり、潜水艦探知などの警戒監視、台湾有事など多様な事態への対処が必要になる。現行の「平時・周辺事態・有事」という分類では、どれにも当てはまらない事態に対応しづらくなるというわけだ。

 そもそも「周辺事態」とは、有事でも平時でもない「グレーゾーン事態」で、集団的自衛権の行使を禁じた当時の憲法解釈に抵触しない対米協力を可能にするための〝苦肉の発明〟だった。政府が再三、「地理的概念ではない」と説明しても、「周辺」という空間を連想させる概念を使ったことで、周辺事態法の国会審議では常に「周辺」の地理的範囲が問題視された。

 しかし、7月の閣議決定では武力行使が認められない活動範囲について「現に戦闘行為を行っている現場」と規定しており、より柔軟な対米協力が可能となる。「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」があるなど条件を満たせば、集団的自衛権に当たる武力行使も認めている。

 いびつな同盟脱却

 例えば今回の中間報告では、集団的自衛権の行使を伴う対米協力の事例として、機雷除去などを想定した「海洋安全保障」が盛り込まれた。「ペルシャ湾で、放置すればわが国の存立に関わる場合には機雷除去をやることもあり得る」(日米外交筋)ことになる。

 過去の憲法解釈では日本有事の際の個別的自衛権の範囲内でしか認められていなかった米艦防護も、日本の安全に関わるあらゆる緊急事態で認められることを意味する。公海上で攻撃にさらされる米艦を見殺しにするという、いびつな同盟関係から「新しいレベル」(チャック・ヘーゲル米国防長官)に移行することになる。

 とはいえ、中間報告で盛り込んだ対米協力のあり方は具体論に踏み込んでいない。本当の意味で日米同盟の「新しいレベル」を提示するのは、日米両政府がガイドライン改定を目指す年末以降となる。 (SANKEI EXPRESS

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