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独立で「メッシいなくなる」/リーグ離脱の可能性 揺れるバルサ
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スペイン・カタルーニャ自治州バルセロナ バルセロナを州都とするカタルーニャ自治州の独立問題でスペインの政治情勢が揺れる中、スペイン・プロサッカーリーグのハビエル・テバス会長(52)が、もし自治州が独立した場合、州を本拠地とするバルセロナやエスパニョールがリーガエスパニョーラ(スペインリーグ)に居続けるのは不可能との見通しを示した。実際にリーガから離脱した場合、メッシ(27)=アルゼンチン=やネイマール(22)=ブラジル=ら世界的トップ選手が集まるバルセロナの行方はどうなるのか。サッカーファンもカタルーニャ情勢からしばらく目が離せそうにない。
スペインのスポーツ紙「アス」などによると、弁護士出身のテバス会長は7日、スペインのラジオ局「オンダ・セロ」の番組「アル・プリメーラ・トケ(最重要ポイントに迫る)」に出演し、「もしカタルーニャが独立したとすれば、バルセロナとエスパニョールがリーガエスパニョーラでプレーすることは認められなくなる。スポーツに関する国内法によって、リーガや公式大会に参加することができるスペイン以外の国は(スペインとフランスの国境地帯にある小国)アンドラ1カ国だけと定められているからだ」と述べた。
その上で、「(バルセロナなどがリーガ参加を続けるには)スペイン国会で法改正が行われる必要がある。また、その際には、様々な分野に影響が及ぶため、各関連産業の合意も確認しなければならない」と語った。ただし、会長はカタルーニャ独立の可能性については「私はないと思っているし、そう願っている。なぜなら、カタルーニャのないスペインも、バルセロナのいないリーガも、クラシコ(レアル・マドリード対バルセロナの伝統の一戦)のないリーガも、メッシのいないリーガも想像すらできないからだ」とも補足した。
カタルーニャ自治州は先月19日、独立の是非を問う投票を行うための法律を可決。アルトゥール・マス州首相(58)は住民投票実施のための政令に署名し、11月9日に実施すると発表した。しかし、スペイン中央政府のマリアノ・ラホイ首相(59)は「(住民投票は)国家の主権を侵害するものだ」などと厳しく批判し、違憲だとして憲法裁判所に提訴。裁判所は当面、住民投票の実施は差し止めるとの命令を出した。
これに対して自治州報道官は9月30日の記者会見で「(独立か否かの)民意を問うことは諦めない」と強調。マス州首相は州議会選を前倒しし分離・独立を争点として実施する可能性も示唆している。
気になるのは住民の意思だが、9月初めの世論調査では、カタルーニャの目指すべき方向として「さらなる自治権拡大」が42%で、「独立」(27%)、「現状維持」(19%)を上回っている。また、最近の調査でも約6割が「独立は無理」と答え、カタルーニャ人としての誇りは大いに掲げるが中央政府との対立先鋭化は望まないという住民意識がうかがえる。しかし、英スコットランドでの独立をめぐる民意の揺れを例にとれば、弾み一つで20ポイント近い差が1カ月でひっくり返ることもありうる。
もし、本当にバルセロナがリーガを離脱するとなれば、カタルーニャリーグの創設やフランスリーグへの加入が考えられるが、それではファンも納得しないだろうし、世界のサッカーシーンも寂しいものとなる。(SANKEI EXPRESS)