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【佐藤優の地球を斬る】ひとごとではない記者弾圧

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【佐藤優の地球を斬る】ひとごとではない記者弾圧

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ソウル中央地方検察庁=2014年10月5日、韓国・首都ソウル(桐山弘太撮影)  韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に関するウェブサイト上の記事をめぐり、ソウル中央地方検察庁に名誉毀損(きそん)の容疑で在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(48)に対する出国禁止措置が、16日から3カ月間延長されることになった。弁護人は、加藤氏の出国を速やかに認めるよう求める文書をソウル中央地裁に提出した。韓国は愚行を繰り返している。

 信用失墜の創出が課題

 刑事被告人であっても無罪推定が働くので移動の自由を持つ。祖国である日本への移動を認めないのは、人道的観点から問題だ。韓国人が祖国・大韓民国を愛するように、日本人は祖国・日本国を愛する。加藤氏は責任感の強いジャーナリストなので、裁判から逃亡するようなことはしない。出国を認めるべきだ。日本人を狙い撃ちにした弾圧を続ければ続けるほど、国際社会における韓国の信用が失墜することになるという状況を作り出すことが、日本外交の課題だ。

 <岸田文雄外相は16日の参院外交防衛委員会で、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長がソウル中央地検に在宅起訴され、出国禁止措置が3カ月延長されたことについて、人道上の問題があるとして国連人権理事会への問題提起を検討する考えを示した。

 岸田氏は国連人権理事会の下に、全ての国連加盟国を対象に人権状況を審査する作業部会があることに言及し、加藤前支局長の人権状況について「(所見を述べる)適当な機会があるかどうか検討してみたい」と述べた>(10月16日付産経ニュース)

 国連人権理事会では、慰安婦問題で日本が韓国から批判される場合が多いが、このような場を用いて、韓国による日本人記者を狙い撃ちにした不当な人権侵害がなされていることをアピールすると、大きな効果が期待される。ぜひ実施してほしい。

 岸田外相は、<邦人保護の観点から加藤前支局長の「身辺の安全確保」を韓国政府に求めていることも明らかにした>(産経ニュース)。

 邦人保護は、外交活動の基本である。今回、加藤氏の自由を回復するために、外務省はよく頑張っている。心ある外交官たちが、同胞の新聞記者に対する韓国政府の不当な扱いに憤り、職業的良心に従って、何とかしなくてはならないと考えているのであろう。

 KGBも嫌がらせ

 こういうことがあると、ソ連時代の記憶がよみがえってくる。当時、外交官や新聞記者は、KGB(ソ連国家保安委員会=秘密警察)からさまざまな嫌がらせをされた。筆者はたばこを吸わない。しかし、帰宅すると、灰皿に吸い殻がいくつか入っていた。風呂場の壁の中から突然、ラジオが鳴り出した(盗聴器のマイクはスピーカーの機能も果たす)。また、交通警官を装う秘密警察官に殴られたこともある。リトアニアでは、秘密警察関係者と思われる私服の男からしびれ薬入りのウオツカを飲まされた。産経新聞のモスクワ支局員もソ連当局からさまざまな嫌がらせをされた。車のタイヤにくぎが刺されパンクするなどということもよくあった。こういう経験をしているので、筆者は新聞記者が不当な目に遭わされているとひとごとのように思えないのだ。

 産経新聞関係者と本紙並びに産経新聞の読者に相談したいことがある。筆者は職業作家である。韓国との問題を含め、外交問題については、過去にさまざまな記事を書いている。筆者が韓国に出張し加藤氏と面会し、その内容を日本のマスメディアで伝えることで、この問題の深刻さを韓国に認識させることはできないであろうか。もちろん交通滞在費は筆者が負担する。加藤氏や産経新聞に迷惑をかけるならば、こういうことはしない。皆さんの意見を聞かせてほしい。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)(SANKEI EXPRESS

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