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ライブとサイレント映画融合 「光の音色 THE BACK HORN Film」
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(左から)岡峰光舟(バス)、菅波栄純(ギター)、熊切和嘉監督、山田将司(ボーカル)、松田晋二(ドラム)=2014年10月15日、東京都渋谷区(大山実撮影) □熊切和嘉監督、THE BACK HORN
「私の男」の熊切和嘉監督(40)とオルタナティブ・ロックバンド「THE BACK HORN(ザ・バックホーン)」という異色の組み合わせで不思議な映像作品が出来上がった。タイトルは「光の音色 THE BACK HORN Film」。彼らのライブシーンと、ロシアのウラジオストクを舞台にしたドラマが交互に挿入され、愛、生、死とは何か-と、見る者に哲学的な問いかけをしている。
ドラマのストーリーは実にシンプルだ。見渡す限りの荒野で、愛妻の亡骸を埋葬しようとする老夫(セルゲイ・ペルミノフ)が主人公。シャベルで穴を掘ってはみるものの、どうしても埋めることができず、妻と過ごした日々の思い出に浸っている…。
ザ・バックホーンの大ファンと公言する熊切監督は「彼らのライブビデオとサイレント映画を融合させれば、きっと独自の世界観ができるのではないかと考えました。ドラマの部分には簡単な物語がありますが、俳優に起用したロシア人たちにせりふは一切ありません」と出発点を説明する。では、彼らの音楽はどう活用するのだろう。「せりふがないために語りきれない感情もあるでしょう。言葉にできずに心の中にため込んだ感情を、彼らの音楽で解き放つのです」
「普通のライブビデオにはしたくありませんでした。初めて監督から作品の構想を聞いたとき、素直に『面白い』と思いましたよ」とギター担当の菅波栄純(35)。自分たちの音楽作品も、物語があって、音楽がある、心の風景を音で映像化する-というスタンスがあることを踏まえ、「熊切監督に強烈なシンパシーを感じた」という。
ボーカルの山田将司(35)は「僕たちも熊切監督のように人間のあらゆる感情を描きたいと考えて、活動してきました」と満足そう。作中には、「月光」「生命線」「シリウス」「罠」「幸福な亡骸」など11曲が挿入されている。
熊切監督は12月、本作を置き土産にフランスへ渡り、半年ほど映画の勉強に打ち込むという。物事の上っ面だけをとらえた浅薄な作品が大嫌いとよく口にする熊切監督だけに、充電後のさらなる活躍が今から楽しみだ。11月1日から新宿ピカデリーほか全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:大山実/SANKEI EXPRESS)
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