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豪州第2の都市メルボルン(下) 手作業で作った「世界一」の道
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世界で一番美しい海岸線と呼ばれるグレート・オーシャン・ロード。十二使徒と呼ばれる奇岩群の周辺ではヘリコプターによる遊覧飛行も行なわれている=2014年9月11日、オーストラリア・メルボルン近郊(三尾郁恵撮影) ヘリコプターに乗り込みシートベルトとヘッドセットをつける。次第に回転数を上げていくプロペラに期待を膨らませていると、ふわっと機体が浮かび上がった。空中を滑るように移動した眼下には、西日に照らされ赤く輝く高さ約70メートルの断崖絶壁と奇岩群が広がっていた。
世界でもっとも美しい海岸線といわれている「グレート・オーシャン・ロード」。全長200キロ以上にも及ぶこの道は、第一次世界大戦から帰国した兵士たちがつるはしなどで手作業で作り上げた。現在、海岸線沿いは海水浴やサーフィンなどが盛んで、周辺はメルボルンから最も近い別荘地として人気が高い。
グレート・オーシャン・ロードの最大の見どころは「十二使徒」と呼ばれる奇岩群。オーストラリアの雄大な大地を切り裂いたような断崖絶壁に、何万年もの時をかけて波や風により浸食された奇岩群が並んでいる。かつては12の奇岩が並んでいたためキリストにちなんで十二使徒と名付けられたが、現在は浸食が進みいくつかの奇岩は崩れてしまったという。
メルボルンから十二使徒までの距離はおよそ200キロ、往復には10時間以上もかかる場所だが観光客への人気は衰えない。
≪座席は窓枠 森を駆け抜ける≫
「ポッポー!」。軽快な汽笛の音が響く。白い煙をもくもくと吐きながら緑豊かな温帯雨林をレトロな蒸気機関車が走り抜けた。
オーストラリア最古の蒸気機関車「パッフィンビリー鉄道」。オーストラリア南東部に位置するビクトリア州の山間部を定期運行するこの鉄道は、19世紀末に農村地帯開拓のために建設され、木材などの貨物輸送を行っていた。しかし1930年代には赤字路線と知られるようになり、1953年に発生した地滑りによって一時は路線廃止にまで追い込まれた。しかし55年の廃業前の記念運行をきっかけに保存運動が始まり、現在は観光列車として約900人のボランティアによって運行されている。
メルボルンの東約40キロに位置するベルグレーブ駅を出発し約25キロの道のりを走り抜ける。列車の窓にはガラスはなく、乗客は窓枠に腰掛け外に足を出したまま乗るのが人気だ。最大の見どころは全長85メートル、高さ12.8メートルの木製トレイスル橋。森を抜け橋にさしかかると乗客たちは歓声を上げていた。(写真・文:写真報道局 三尾郁恵/SANKEI EXPRESS)