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カナダ首都テロ 「有志連合」に危機感 イスラム教改宗の男が銃乱射、兵士1人射殺

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カナダ首都テロ 「有志連合」に危機感 イスラム教改宗の男が銃乱射、兵士1人射殺

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10月22日、カナダ・首都オタワの連邦議会議事堂内で、会議室を内側から封鎖して銃撃犯に備える議員ら=2014年(AP)  カナダの首都オタワにある戦没者慰霊碑付近で22日、男が警護中の兵士を射殺した後、道路を挟んだ向かい側の連邦議会議事堂内に侵入、治安当局者と銃撃戦を繰り広げた末に射殺された。男は最近、イスラム教に改宗。スティーヴン・ハーパー首相(55)は22日夜のテレビ演説で、事件が「テロ」であるとの認識を示す一方、バラク・オバマ米大統領(53)と電話会談し、両国の緊密な協力を確認した。

 連邦議会議事堂に侵入

 男はマイケル・ゼハフ・ビボー容疑者(32)。もとの名前はマイケル・ホールだったが、最近、改名した。

 顔を黒いマスクで覆ったビボー容疑者は兵士を射殺した後、両手を挙げて喜び、議事堂内に侵入。ハーパー首相らが演説している部屋に接する廊下を移動し、約20メートル離れた図書室前で射殺された。ビボー容疑者が銃を乱射した廊下のすぐ横の会議室では、ハーパー首相が与党・保守党の会議に出席していた。共犯者がいる可能性も含め、警察当局が捜査している。

 犯行動機は不明だが、中東地域で台頭するイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)壊滅のため、ハーパー政権が空爆参加を表明したことがきっかけだった可能性がある。ビボー容疑者は過激派に合流する恐れがあり、治安当局が「危険旅行者」として旅券を没収していた。

 「過激思想」監視厳しく

 今回の銃撃事件は、これまでイスラム過激派の標的とは無縁と考えられてきた国々へのテロ拡散を印象づけた。ハーパー政権はイスラム過激派の摘発を強化する方針だが、有志連合としてISに対する空爆に参加するオーストラリアでも、警戒感が広がっている。

 「事件発生は、世界で起きているテロ攻撃がカナダと無縁でないことを知らしめた」。ハーパー首相はテレビ演説でこう強調した上で、カナダの安全確保に向け、「全ての措置」を講じるとした。

 カナダでは現在、治安情報庁の権限を強化する法案が作成されている。法案は、「潜在的テロリスト」が海外の過激派と合流する恐れがある場合、徹底的な調査を可能にする内容だが、事件発生を受け、さらなる権限強化が図られるとみられる。治安情報庁のマイケル・クロンベ長官は今月、連邦議会に対し、カナダ国内で過激思想に染まった後に海外に渡航、帰国した人物が80人いると報告しており、こうした人物を中心に国家の監視の目が厳しくなりそうだ。

 移民受け入れ見直しも

 カナダ東部モントリオール近郊では20日、イスラム教に改宗した男(25)がカナダ軍兵士2人を車でひき、1人(53)が死亡する事件が発生したばかり。カナダはイスラム文化圏の北アフリカ地域から仏語に堪能な移民を東部ケベック地域などで受け入れてきた。事件を契機に、移民受け入れ政策が見直される可能性もある。

 オーストラリアのトニー・アボット首相(56)も23日、カナダでの銃撃事件を受け、テロの恐れに現実味があることを「再確認させられた」とする声明を発表した。オーストラリアは先月18日、最大都市シドニーなどで、ISの支持者らの一斉摘発に踏み切っている。

 オーストラリアからは150人以上が戦闘員などとしてISに合流、20人以上がすでに帰国したとみられ、警察当局が行方を追っている。民間調査機関が先月末から今月初めにかけ実施した世論調査では、75%が国内でテロが発生する恐れが「ある」と回答した。旧英国領で多民族を抱える両国は置かれている環境が似ており、それだけ危機感は強い。(ニューヨーク 黒沢潤、シンガポール 吉村英輝/SANKEI EXPRESS

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