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イスラム国「広報マン」追え FBI、市民に情報提供要請 帰国テロ阻止躍起
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過激派「イスラム国」の主なデータ=2014年9月27日現在、※米CIA(米中央情報局)などによる 米連邦捜査局(FBI)は7日、イラクとシリアで活動するイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国(IS)」がネットで公開した宣伝ビデオに登場し北米系の英語を話す男の身元を特定するため、専用サイトを開設し一般市民に情報提供を呼び掛けた。ネットによる巧みな勧誘に共鳴し戦闘員としてISに合流する米欧人が後を絶たないなか、危険な“広報マン”の捕捉(ほそく)に全力を挙げる。ISに参加するため渡航したり、渡航を計画したりしている人物の情報提供も要請。米国に舞い戻ってきた戦闘員による“帰国テロ”の阻止に躍起となっている。
「われわれは、この人物が何者なのか誰かが特定してくれるものと期待している。どんなに小さな情報でもかまわない」
FBIの対テロ部門のアシスタント・ディレクター、マイケル・スタインバック氏は声明で、異例ともいえる呼び掛けを行った。
さらに、「テロ組織とともに戦うため海外に渡ろうとしたり、逆に帰国したりした米国人の身元を特定するには、国民の協力が必要だ」と訴え、専用サイトへの情報提供を求めた。
米CNNテレビなどの報道によると、宣伝ビデオは時間が51分で、9月19日にネットにアップされた。男は迷彩服を着て、黒の目出し帽を被り、英語とアラビア語で語っている。
男の後方でくわのような物で地面に穴を掘る男性たちが映っており、男は「シリア北部ラッカの第17師団に配属されたシリア軍の兵士たちだ」と紹介。「彼らはわれわれに敗れ、自分で自分の墓穴を掘る羽目になった」と言い放ち、自ら捕虜の処刑にかかわったことをほのめかしイスラム国の残忍さをアピールした。
FBIはビデオを「西側の人間をイスラム国に誘い込むためのものだ」とみている。男が話す英語には北米系のアクセントがあり、米国人かカナダ人の可能性が指摘されている。米ジョージ・ワシントン大学の安全保障問題アナリスト、フランク・シルフォ氏はCNNに「彼のメッセージは西洋人に向けられたもので、米国人のようだ」と分析した。
ISは、ネットを活用し貧富の差など社会に不満を持つ米欧の若者を戦闘員として巧みに勧誘し勢力を拡大している。米中央情報局(CIA)によると、全戦闘員の半数以上の約1万5000人が外国人で、国籍は80カ国にわたり、うち約2000人が米欧人だとみている。FBIのジェームス・コミー長官(53)は米CBSテレビで10人前後の米国人がシリアでISに加わったと明かした。約100人の米国人がテロ組織に参加しているとの分析もある。
米治安当局は自国民がISに合流し訓練などを受けた後、米国のパスポートを持って容易に帰国し、国内でテロを企てることを最も恐れている。このため、危険分子の取り締まりを強化しており、6日にはシカゴ連邦地検がISに参加しようとしていた19歳の男を逮捕したばかりだ。日本でも北海道大学の男子学生(26)がシリア渡航を企てた事件が発覚し衝撃が広がった。国連安全保障理事会は先月、各国に外国人戦闘員への処罰を義務づける決議を採択しており、若者を引き留めることが国際社会の急務の課題となっている。(SANKEI EXPRESS)