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【長野で震度6弱】住宅57棟全半壊 余震60回超観測 41人負傷

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【長野で震度6弱】住宅57棟全半壊 余震60回超観測 41人負傷

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地震で倒壊した住宅=2014年11月23日午前、長野県北安曇郡白馬村(本社ヘリから、山田哲司撮影)  22日午後10時8分ごろ、長野県北部で震度6弱の地震があった。気象庁によると、震源地は長野県北部で、震源の深さは約5キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.7と推定される。警察庁によると、負傷者は長野市や白馬村など県内で少なくとも計41人に上り、うち7人が重傷。住宅倒壊や土砂崩れも相次ぎ、県は白馬村のほか、小谷(おたり)村、小川村に災害救助法を適用した。震度1以上の余震は、23日にかけて60回以上観測されており、気象庁は警戒を呼びかけた。

 警察庁によると、重傷者の内訳は、長野市で2人、白馬村で4人、松川村で1人。負傷者の多くは倒壊した住宅の住民だった。長野県災害対策本部によると、白馬村と小谷村で住宅計37棟が全壊、小谷村で20棟が半壊した。白馬村では、倒壊した家の下敷きになった住民が全員救出された。

 県災害対策本部は23日、倒壊した住宅などでの捜索活動を完了。住民らの安否確認が終わり、行方不明者はいないと判断した。白馬村が設けた避難所には住民80人以上が自主的に訪れ、余震におびえながら夜を明かした。

 長野市の善光寺では石灯籠が複数破損し、鐘楼の土台の石垣が一部崩れた。寺によると、国宝の本堂の建物には被害はなかった。

 JR東日本によると、地震直後に一時運転を見合わせた長野新幹線は23日の始発から通常運転した。JR大糸線は線路がゆがんだり土砂が流入したりして、信濃大町-糸魚川間で始発から運転を見合わせた。また、土砂崩れや陥没で県内の複数の国道などが通行止めとなった。

 ≪「ひずみ集中帯」 神城断層活動か≫

 長野県北部で22日夜に起きた地震について、政府の地震調査委員会は23日、「神城(かみしろ)断層」と呼ばれる活断層の一部が動いて発生した可能性が高いとの見解を発表した。詳細はさらに検討する必要があるとした。

 神城断層は本州中央部を横断する「糸魚川-静岡構造線断層帯」の北部に位置し、今回の震源地のすぐ西にある。気象庁によると、余震は南北約20キロの帯状に分布しており、神城断層の場所とほぼ一致した。

 今回の地震のメカニズムは、地盤が北西-南東方向に圧縮され、東側が乗り上げる逆断層型。国土地理院によると、神城断層の西側で地盤が南東方向に約29センチ動き、約12センチ沈下する地殻変動が観測された。いずれも神城断層が動いた場合と矛盾しないという。

 余震は神城断層の北部に集中していることなどから、現地調査した東北大の遠田晋次教授(地震地質学)は「北部のごく一部が動いた可能性が高い」と指摘。この断層は長さ20~30キロの全体が一度に動くと考えられており、「残りの部分が連動して動く可能性もある」と話している。

 今回の震源地は、地殻変動の影響でひずみが蓄積しやすい「新潟-神戸ひずみ集中帯」と呼ばれる地域の一部で、地震が起きやすい場所だった。

 糸魚川-静岡構造線断層帯について地震調査委は東日本大震災後、中部で地震の発生確率が高まったとしていた。北部は約1500年前以降に動き、活動間隔は約2000年とされていた。(SANKEI EXPRESS

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