Ｑ　リニアはどうやって走るの？

　Ａ　ガイドウエーと呼ばれる軌道の側壁に設置したコイルに電気を流してＮ極、Ｓ極の磁界を起こします。車両に付けた超電導磁石との間で引き合う力、反発する力を利用して車両は約１０センチ浮上して進みます。東海道新幹線のぞみの３倍ほどの電力を消費するといいます。

　Ｑ　リニアは世界で走っているの？

　Ａ　高速走行するリニアとしては中国上海で営業運転しており、これは常電導式と呼ばれ、１センチ程度浮く構造です。ドイツの技術が導入されましたが、資金難を理由にドイツ本国は営業運転を断念しています。

　Ｑ　リニア中央新幹線の駅やルートは？

　Ａ　２０２７年開業予定で７都県を横断、静岡を除く各県に１駅ずつ設置されます。品川－名古屋２８６キロのうち８６％が地下や山岳トンネルですので、景色は楽しめそうにありません。全席指定の前売り販売のため、切符売り場を設けないシンプルな駅舎になります。

　Ｑ　乗車運賃や特急料金は高いの？

　Ａ　品川－名古屋の「のぞみ」より７００円程度上積みする想定がされていますが、詳細は決まっていません。

　Ｑ　どんな車両？

　Ａ　山梨県の実験センターで試験している車両は高さ３．１メートル、幅２．９メートル。のぞみより一回り小さい。１６両編成だと、定員はのぞみより３００人少ない１０００人程度。座席は通路の両側に２席ずつで、最高時速５００キロの走行中でも通路を歩けます。指令室からの遠隔制御で走るので運転士は必要なく、先頭部に窓はありません。

　Ｑ　乗り心地は？

　Ａ　ゴムタイヤで走り始め、時速１６０キロ前後でふわっと浮上します。５００キロ近くになると振動を感じます。減速してタイヤ走行に戻ると、旅客機が着陸したような揺れが軽くあります。

　Ｑ　乗車手続きは？

　Ａ　１１～１２月に開かれる試乗会では、金属探知機のゲートを通過し、発券機で乗車チケットを受け取り、チケットのコードを改札機にかざしてから乗ります。

　Ｑ　地震への備えは大丈夫かな？

　Ａ　ＪＲ東海によると、Ｕ字形の軌道を浮上して走るため脱線はせず、車両が弾みで左右どちらかにずれても、磁石の力で常に真ん中に戻る仕組みになっています。

　Ｑ　非常時はどうやって避難するの？

　Ａ　避難用としてトンネルと地上をつなげた非常口が、４～５キロ間隔で設けられます。直径３０～４０メートルの円筒形で、避難階段に非常電源付きエレベーターが併設されます。

　Ｑ　磁界による健康への影響は？

　Ａ　磁界の主な発生源は車両にある磁石。ＪＲ東海は「国際的なガイドライン以下で健康への影響はない」と説明しています。

　≪「出張に便利」「立ち退き不安」≫

　出張で忙しい会社員、子供の里帰りを待つ親らは、品川－名古屋を４０分で結ぶリニア中央新幹線に期待を膨らませ、それぞれ将来の生活を思い描いた。

　スーツ姿が目立つＪＲ名古屋駅の新幹線改札口周辺。東京都の会社員、伊藤隆介さん（２８）は月に２回ほど名古屋や大阪へ出張するという。「リニアで時間が短縮されるのでうれしい。２０２７年はかなり先に感じるがとても楽しみ」と話した。

　東京に住む次女を待っていた名古屋市の無職、猪之鼻裕子さん（７４）は「娘も孫も遊びに来るのが楽になるだろう。私も気軽に東京へ遊びに行ける」と笑顔を見せた。

　リニア新駅が周辺に建設される予定のＪＲ橋本駅（相模原市）。０歳の子供がおり、育児休暇中の市内の女性会社員（２７）は名古屋出身といい「４０分足らずで地元に帰れるので、親に子供の顔を見せる機会が増える」と声を弾ませた。

　一方、新駅建設で移転することになる高校の近くでそば屋を営む長谷川義明さん（６６）は「開業が１３年後で実感が湧かない。自分たちのいる商店街も立ち退きになるのかどうか説明してほしい」と不安を口にした。（ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）