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社会
台風19号猛威 休日の列島のみ込む
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台風19号の影響でJR西日本が京阪神の全線で列車の運行を取りやめ、封鎖されたJR大阪駅の改札口=2014年10月13日午後、大阪市北区(村本聡撮影)
大型の台風19号は13日、鹿児島県枕崎市付近に上陸して九州を進んだ後、高知県宿毛(すくも)市付近に再上陸した。今後も風速25メートル以上の暴風域を伴って近畿へ進み、列島を縦断する恐れがある。14日午前に三陸沖へ抜けて温帯低気圧に変わる見込み。気象庁は、暴風や大雨による土砂災害などに厳重な警戒を求めた。千葉県鎌ヶ谷市の一部でゴルフ練習場の鉄塔が危険な状態になる恐れがあるとして避難指示が出されたほか、避難勧告は土砂崩れなどの恐れから静岡県内で計約77万人、四国で計20万人が対象となるなど各地で相次いだ。
台風19号が上陸した九州や四国などでは、強風による転倒事故などが相次ぎ、4人が骨折するなどの重傷を負った。12日までの被害と合わせた各地の重軽傷者は計61人に上り、高波にのまれた男性1人が行方不明となっている。
福岡県大川市では13日午前、強風にあおられた男性(90)が転倒し、右脚の骨を折る重傷を負った。愛媛県久万高原町でも、息子夫婦宅へ行こうと外出した女性(88)が転んで太ももの骨を折った。
山口県柳井市の90代の女性はスーパーマーケットの駐車場で強風にあおられて転び、右脚を骨折。徳島県阿南市では、女性(63)が台風に備え、2階のベランダの物干しざおを片付けようとした際に足を滑らせて転倒。骨折の疑いがある。
台風19号による被害は、九州に上陸する前の12日までに、沖縄県糸満市の女児(9)が強風で閉まったドアに指を挟まれて切断するなど36人が重軽傷を負い、静岡県吉田町の漁港で釣りをしていた男性1人が行方不明になっている。
気象庁によると、強風や大雨の範囲は14日にかけて東日本や北日本にも広がり、太平洋側を中心として1時間80ミリ以上の猛烈な雨の恐れがある。竜巻や落雷、高潮にも警戒が必要で、海上は大しけとなる見込み。予報課の佐々木洋主任予報官は「広い範囲で台風の接近に伴い風や波が急激に強まり、大雨となる可能性がある。早めに事前の対策を取ってほしい」と述べた。
気象庁によると、13日の1時間雨量は高知県の四万十町で76.5ミリ、四万十市で69.5ミリ、徳島市54.5ミリなど。降り始めからの総雨量は宮崎県の美郷町で500ミリを超え、宮崎県延岡市、高知県四万十町や仁淀川町などでも400ミリを上回った。鹿児島県西之表市で瞬間風速39.4メートル、長崎県雲仙市で35.5メートル、高知県の室戸岬で34.6メートルの非常に強い風が吹いた。
14日午後6時までの24時間予想雨量は多い所で東海300ミリ、近畿と関東甲信、北陸250ミリ、四国と東北200ミリ、中国150ミリ、北海道100ミリ。14日にかけ予想される最大瞬間風速は四国と近畿45メートル、関東甲信や伊豆諸島、東北、北海道40メートル、九州や中国、東海、北陸35メートル。
台風は13日午後6時現在、徳島県美馬市付近を時速約50キロで北東に進んだ。中心気圧は980ヘクトパスカル、最大風速は30メートル、最大瞬間風速は40メートル。中心からの半径240キロ以内が暴風域。
≪四国、在来線一時全て運休 空路の欠航相次ぐ≫
台風19号が九州や四国に上陸した13日、JRは山陽新幹線が強風で一時運転を見合わせたほか、四国全ての在来線を運休した。JR西日本では京阪神の全路線で順次運転を取りやめ、近畿2府4県の?路線で計約1200本に運休や遅れが出た。JR西によると、全路線で事前に運休を決めたのは初めて。航空会社も約660便が欠航し、3連休最終日の交通機関に大きな影響を与えた。
JR各社によると、山陽新幹線は強風のため、午前7時前に広島-三原間で、午後2時すぎに小倉―博多間でそれぞれ運転を見合わせ、東海道新幹線にも一部遅れが出た。九州新幹線もダイヤが乱れた。
在来線は、JR九州が始発から鹿児島線、日豊線などで一部運転を見合わせたほか、JR西日本が京阪神地区で午後4時ごろから順次運転を取りやめ、近畿と北陸や山陰地方などを結ぶ特急列車118本と、京阪神の全ての普通列車が運休した。JR東海も岐阜、愛知、三重3県の在来線で午後8時以降の運休を決めた。
航空各社によると、13日朝から高知、熊本、鹿児島などの空港を発着する国内線を中心に欠航が相次ぎ、約4万6000人に影響した。航空各社は14日も、13日の欠航によって機材繰りが整わないなどの理由で、一部を欠航とする見通し。東海道・山陽新幹線や九州新幹線は始発から通常運行する予定。(SANKEI EXPRESS)