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科学
福島で事故と向き合う(下) 一般学生との間にギャップも
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東日本国際大学の学生との交流。原子力を学ぶ学生と一般の学生の間のギャップが浮き彫りになった=2014(平成26)年8月29日、福島県いわき市(東京都市大学_有志学生記者)
被災地訪問を終え、東京電力福島第2原発へと向かった。初めに、福島第2が震災の影響をどの程度受けたのか、どこまで津波が到達し、どのような判断が下され、行動したのか。震災直後の状況の説明を受けた。
その後、研修棟で福島第2が福島第1と同じように、地震と津波に襲われ全電源喪失に陥った場合のシミュレーター訓練を見せてもらった。状況設定は非常に細かく、当時は携帯懐中電灯の光で計測機器の値を読んでいたといい、壮絶な現場であったことが伝わってくる訓練内容だった。
施設見学では、4号機の原子炉建屋内のオペレーティングフロア、原子炉格納容器内や、外回りの防潮堤、海水熱交換器建屋などを順々に回った。
見学後に設けてもらった質問の場では、事故当時のことに加え、電力マンとしての心構え、福島復興への熱い思いなどを話してもらった。今回の見学を通じ、東電に入社したいと思った学生も少なくなかったのではないだろうか。
福島訪問の最後に、いわき市の東日本国際大学の学生との交流会を開いた。ここまでの1泊2日の行程で、参加者は原子力の良い面も悪い面も両方見てきた。心が揺れている学生も多かったはずだ。そんな中ある学生が「原子力についてどう思いますか?」と、東日本国際大学の学生に質問した。当然、厳しいコメントが返ってくると思っていたが、答えは「わかりません。あまり考えた事はありませんでした」というものだった。一方で、今回の福島訪問を通じて東電で働きたいと思うようになったかとの質問に、東京都市大学側の何人かが手を挙げているのを見て、東日本国際大学の学生は驚いていた。
交流会では、原子力を学ぶ学生と、そうでない学生の間のギャップが浮き彫りになった。どちらが良いか悪いかという問題でなく、ギャップが存在するということを知るいい機会だったのではないだろうか。(今週のリポーター:東京都市大学 有志学生記者 犬飼健一朗、亀子湧生/SANKEI EXPRESS)
・福島を見て、被災者の方々から話を聞くことで原子力について多方向から考えるきっかけがほしかった。(大学1年生)
・福島を自分の目で確かめ、自分には何ができるかを考えたかった。(大学1年)
・自分がどのような気持ちで原子力を学ぶべきなのか考えたかった。(大学1年)
・福島の人の本当の声を聞き、学校では学べない本当に必要なことを学びたかった。(大学3年)
・川内村の遠藤村長の話から生きる意欲、目標を見失わないことが復興において最も重要なことだと実感した。(大学1年)
・津波の被害も一つの要因であるが、原発の影響で町全体が廃虚になっているのを見て、本当に原子力が必要なのか考えてしまった。今までは原発は必要不可欠と考えていたが、そこに被災者の気持ちは考慮されていたのかと考えさせられた。(大学1年)
・復興には技術者が必要だと県民の人たちから期待されていることを知り、励みになった。(大学4年)
・原発の見学では細部に至るまでさまざまな箇所を見ることができ、自分を含め多くの学生が頭に原発とは何かをイメージでき、原子力を学ぶ意欲の向上にもつながったと思う。(大学院2年)
■スイッチが入った若者は強い
震災直後に、放射線量を測定するため、仲間と福島を訪れた。津波の被害を目の当たりにして言葉を失っていた僕たちに、ある住民が強い口調で「お前らはどこの会社の者だ?」と話しかけてきた。学生で測定器を持っていると話すと、「申し訳ないが、家を測定してほしい」と頼まれた。
「専門家でない」と説明した上で、測定を行い、授業で習った範囲で友人が測定値について説明した。当時は測定機器も足りず混乱状態にあったこともあり、「安心できた。ありがとう」と感謝された。自分たちにできることがあるかもしれない。“スイッチ”が入り、真剣に原子力と向き合うことができた。
自分で言うのもなんだが、スイッチが入った若者は強い。多くの学生のスイッチを押す企画をしよう。早い段階からスイッチを入れようと、今回の福島訪問を企画した。自分が信じた原子力技術者になれるようみんなが頑張ってほしい。それが願いだ。スイッチの入った強い学生の集団。東京都市大学原子力安全工学科がそうなってほしいと願っている。(東京都市大学 有志学生記者 犬飼健一朗、亀子湧生)