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【Q&A】台湾地方選 与党惨敗 対中関係停滞 8年ぶり政権交代も
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台湾統一地方選での中国国民党の惨敗を受けて陳謝する馬英九総統(右)=2014年11月29日、台湾・台北市(ロイター) 台湾で11月29日、2016年の次期総統選の前哨戦となる統一地方選挙が行われ、与党国民党が惨敗した。
Q 台湾の統一地方選って?
A 台北や高雄など全人口の約7割を占める6直轄市をはじめとした全行政区で首長や議員らを一斉に決める選挙だ。今回初めて直轄市長選をその他の地方選と同時に実施することになり、台湾史上最大規模の地方選となったよ。
Q 結果はどうだったの?
A 直轄市と一般市、県の計22自治体の首長ポストは、馬英九総統率いる国民党が選挙前の15から6へと激減させた。逆に最大野党の民主進歩党(民進党)は6から13へと躍進した。6直轄市に限っても、国民党は4から1へと大幅に減り、民主党は2から4に増やしたんだ。
Q 何が原因?
A 馬総統の不人気が挙げられる。台湾は中国への経済依存が深まっているけど、中国との関係強化を一方的に進める馬総統への反発が強まっているよ。今春には台中間のサービス分野の市場開放を目指す「サービス貿易協定」に反対する学生らが立法院(国会)を占拠して抗議する事件も起きた。
住宅価格高騰や若者の就職難などの経済失政も指摘され、支持率は10%台まで低迷していたよ。
Q 民進党は「台湾独立」を掲げているけど、民進党が支持されたことになるの?
A 中心都市・台北の市長選で当選したのは無所属の医師、柯文哲氏で、二大政党の対立の構図を超える政治の実現を訴え、支持を広げたんだ。無党派層が厚みを増していて、既成政党に満足できない有権者も増えているようだ。22の自治体のうち、無所属の首長は選挙前の1人から3人になったよ。
Q 今後どうなるの?
A 馬総統のレームダック(死に体)化が進むのは避けられず、中国との関係強化が停滞することは確実だ。惨敗の責任を取って江宜樺行政院長(首相)の行政院(内閣)が総辞職し、馬総統も国民党の主席を辞任した。与党内の混乱が続いているね。
Q 16年の次期総統選はどうなるの?
A 8年ぶりの民進党への政権交代に現実味が出てきたとの見方もあるよ。
Q 本当にそうなったら?
A 台湾の統一を目指す中国がいっそう警戒を強めることは間違いない。00~08年の民進党の陳水扁総統時代に対中関係が冷え込んだことは人々の記憶に新しい。中国との良好な経済関係を望む人も増えており、民進党にも中国との向き合い方は大きな課題となるね。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪馬総統 「レームダック化」不可避≫
統一地方選で与党国民党が惨敗した責任を取って総辞職を表明した江宜樺行政院長(首相)の後任となる毛治国副院長(副首相)による行政院(内閣)の新メンバーは、毛氏の後任に張善政科学技術部長(科学技術相)を充てるなどしたが、大半は残留した。
地方選惨敗は支持率が低迷する馬英九総統や政権への批判が最大の要因とされる中、新内閣は出直しへの姿勢が感じられないとの声が与党内からも出ている。「安定」重視の布陣となったが、残り任期が約1年半となった馬氏のレームダック(死に体)化は必至だ。
中国との貿易自由化などに向けた馬政権の対中政策に対する警戒心の高まりも与党惨敗の要因と指摘されたが、中国政策を主管する大陸委員会の王郁●(=王へんに奇)主任委員も残留。政権としては、王氏が出席して今年始まった中国との主管官庁トップ会合などを通じ従来の対中政策を継続する姿勢を示した。
新任は正副院長のほか、経済部長(経産相)となる●(=登におおざと)振中政務委員(無任所相)、海岸巡防署長(海上保安庁長官)となる王祟儀同署副署長ら計5人。作家としても知られる龍応台文化部長(文化相)は辞任、科学技術部長ポストと共に近く後任を選ぶ。(共同/SANKEI EXPRESS)