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アフガンに勇気与える“ブルース・リー” 「生まれ変わり」ネットで話題に

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アフガンに勇気与える“ブルース・リー” 「生まれ変わり」ネットで話題に

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アフガニスタンの首都カブールの廃墟で、ヌンチャクを持ちポーズを決めるアッバス・アリザダさん。ネット上では、「ブルース・リーの生まれ変わりだ」などと大反響を呼んでいる=2014年12月9日、アフガニスタン・首都カブール(ロイター)  アフガニスタンの首都カブールに、1973年に32歳で死亡した香港の伝説的なアクションスター、ブルース・リーさんにそっくりな男性が現れ、大きな話題になっている。ロイター通信や英BBC放送などの主要欧米メディアが11日までに相次いで伝えた。「生まれ変わり」との声も上がるアッバス・アリザダさん(20)は「ハリウッドのスターになりたい」と夢を語る。反政府武装勢力タリバンによるテロが頻発し治安悪化が続くアフガンによみがえった“ヒーロー”が、人々に夢と希望を与え勇気づけている。

 ネット動画で大反響

 「アフガン発のニュースは戦争に関するものばかりだった。明るい話題として俺のことがニュースになるのはうれしいよ」

 アリザダさんはロイター通信の取材に笑顔でこう答えた。

 今月8日、交流サイトのフェイスブックに「ブルース・ハザラ(アフガニスタンのブルース)」と称したページを開設。鍛え上げられた肉体で跳び蹴りやヌンチャクを使った中国武術の技を披露する動画をアップしたところ、瞬く間にネットで話題となった。

 顔つきや髪形、体つきだけでなく、ファンならずともおなじみの決めのポーズや奇声も、往年のリーさんにそっくり。ロイター通信は、そっくりさんを超える「生まれ変わり」との見出しを掲げて全世界にニュースを配信した。

 優秀な武術家に成長

 BBCも詳しく生い立ちを伝えた。アリザダさんは子供が10人いる貧しい家庭で育った。14歳の時に、「ドラゴン危機一発」(71年)、「燃えよドラゴン」(73年)といったリーさんの主演映画に夢中になり、映画を見ながら武術を身につけたという。

 武術学校に通って本格的に学ぶような余裕はなかったが、彼の熱意に打たれた武術指導者の支援を受け、国内の大会で優秀な成績を収める武術家へと成長。現在は戦乱で廃虚と化したカブールのダルラマン宮殿で週2回トレーニングを続けており、「この国が破壊されることは悲しいが、そのことが俺を奮い立たせるんだ」と闘志を燃やしている。

 父親のモハマド・レザさんはBBCに「貧しくて武術学校に行かせてやれなかった。ブルース・リーとして過ごすことで、スターになる夢がかなうことを神に祈っているよ」と話した。

 ハリウッド進出も!?

 アフガンでは今年5月に米軍を中心とした駐留国際部隊が大幅に戦力を縮小したのを受け、タリバンが勢力を回復しテロが頻発。米軍は年内に戦闘任務を終了し2016年末に完全撤退する方針を変えておらず、不安が高まっている。一方で米中央情報局(CIA)がアフガンでテロ容疑者らに拷問を行っていたことが9日に発覚し、米軍への怒りで国内は暗いムードに沈んでいた。そんな中、明るい話題を提供したアリザダさんはいまやヒーロー。彼のフェイスブックには連日、数百の友達リクエストやメッセージが殺到しているという。

 リーさんは遺作となった「死亡遊戯」(1978年)のクライマックスのアクションシーンだけを撮影し早世。武術家としても知られ、これまで数々の伝記映画が制作された。来春からは新たに「バース・オブ・ザ・ドラゴン(原題)」の撮影も始まる予定で、アリザダさんのハリウッド進出も夢物語ではない。

 「みんな俺をアフガンのブルース・リーだと思っているし、俺を国の誇りだと思ってくれる人もいる」。アリザダさんはこう言って胸を張った。(SANKEI EXPRESS

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