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産婦人科学会 着床前検査の臨床研究承認 流産の経験者対象 3年かけ検証

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産婦人科学会 着床前検査の臨床研究承認 流産の経験者対象 3年かけ検証

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顕微受精に取り組む医療従事者=2007年(産経新聞撮影)  日本産科婦人科学会(東京都)は13日、都内で理事会を開き、体外受精させた受精卵の染色体異常を調べる着床前スクリーニング(ふるい分け検査)の臨床研究案を承認した。流産を繰り返す女性を対象に、流産の原因となる染色体異常がない受精卵を子宮に戻し、妊娠率が向上するかを調べる。来年2月にシンポジウムを開いて関係団体から意見を聞き、詳細な実施手順を決める。

 異常がない受精卵を選んで子宮に戻す着床前検査をめぐっては、ダウン症などの染色体異常を持つ子供が生まれる可能性を排除するため、「命の選別」につながるとの批判がある。苛原(いらはら)稔常務理事は「命の選別につながるとの意見を受け止め、どのように行うか手順を作成したい」と述べた。

 臨床研究は流産を2回以上繰り返した女性や、3回以上体外受精に不成功の女性が対象。受精卵の染色体異常を調べる新手法で300例を目標に検査し、検査しない300例と比較して出産率が向上するかを3年かけて検証する。また、生まれた子供に異常がないか就学時まで調査を続ける。遺伝子の解析は慶応大、東京女子医大、名古屋市立大などが行う予定。

 受精卵の検査は、重い遺伝病がある場合などに限って遺伝子変異や染色体異常をみる「着床前診断」と、不妊女性を対象に流産を防ぐ目的で行う「着床前検査」がある。学会は指針で着床前検査を禁止しており、今回の臨床研究は指針を変えず医学的効果を確認するためだけに行われる。(SANKEI EXPRESS

 ≪新たな「命の選別」に社会的議論を≫

 日本産科婦人科学会が13日、着床前スクリーニングを承認した。流産を繰り返す女性にとって救いになる可能性がある一方で「命の選別」により、障害のある子供が生まれてこないようにする優生思想にもつながりかねず、社会がどこまで許容するかは、さらなる議論が必要だ。

 生まれる前の「命」を対象とする検査としては、羊水検査や母体血清マーカー、採血により3種類の染色体異常を調べる「新型出生前診断」などの出生前診断がある。出生前診断は仮に異常が見つかっても産むという選択肢がある。それに対して、着床前検査は異常がある受精卵に「生まれてくる」という選択肢がない。

 中絶や流産は女性の心と体を大きく傷つける。着床前検査でそうしたことを避けたいと考える女性や医師らはいるだろう。その一方で、ある産婦人科医は「卵を選別する以上、なんらかの痛みを味わって当然だと考える女性もいる」と指摘する。

 今後の技術革新にも懸念がある。従来の着床前診断は染色体の一部しか調べられなかったが、現在は染色体の全ての異常を読み取る方法が主流になってきている。今後は、より幅広く遺伝子情報を読み取る検査が現れることも予想され、選別の対象となる疾患が拡大する恐れがある。着床前検査が問うのは、障害と向き合う社会の姿勢そのものでもある。(道丸摩耶/SANKEI EXPRESS

 ≪国による「歯止め」必要≫

 ■柘植(つげ)あづみ明治学院大教授(生命倫理学)の話 「今は習慣流産にしか使わないというが、今後、染色体レベルから遺伝子レベルの解析に広がる恐れがある。出生前診断より女性の負担が小さいとの意見もあるが、体外受精をしなければならないことによる負担は小さくないし、選別することの心理的な葛藤はある。また医療者が受精卵を選別することになるため、社会的な影響が大きい検査は一学会が決めるのではなく、場合によっては国が法律か指針などの決まりを検討することも必要ではないか」(SANKEI EXPRESS

 ■着床前スクリーニング 体外受精させた受精卵を子宮に戻す前に遺伝的な検査をし、異常のない受精卵だけを戻して妊娠、出産を図る生殖医療。通常は受精卵が4~8分割した初期段階で1~2個の細胞を取り出し、染色体や遺伝子を調べる。日本産科婦人科学会は従来、重い遺伝病と、均衡型染色体構造異常による習慣流産に限って認めており、着床前診断(受精卵診断)と呼ばれている。健康な人を含めて網羅的に染色体の異常を検査する新しい手法では、「診断」の代わりに「ふるい分け検査」という意味の「スクリーニング」が用いられる。

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