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【衆院選2014】無党派票分散 組織力で与党優位に

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【衆院選2014】無党派票分散 組織力で与党優位に

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雪が舞う中、衆院選の投票所に向かう有権者=2014年12月14日午後、山形県鶴岡市(共同)  共同通信社は14日、全国の投票所で有権者に投票した候補者と政党を質問する出口調査を実施した。結果分析では、無党派層の票が維新の党、自民党、民主党、共産党などに分散したことが示された。一方で主要政党はそれぞれの支持層をほぼ固めた。このため、無党派層による「風」は吹かず、組織力に勝る自民、公明両党が優位な戦いを進めた実態が浮かんだ。

 出口調査で「支持政党なし」と答えた無党派層は全体の20.6%で、このうち比例代表で自民党に投票したと回答した人は21.1%と、政権を奪還した前回2012年衆院選の19.9%を上回った。無党派層の支持を維持したことが自民党の勝利を支えた形だ。

 比例代表で最も支持を集めた維新の党は21.7%で、2位、3位に自民党、民主党が僅差で並んだ。4位の共産党は17.7%と前回7.5%から倍以上となり躍進を裏付けた。

 民主党は政権を失った前回の16.4%から20.8%に挽回したが、政権交代を実現した09年までのような無党派層の支持回復はかなわなかった。このほか公明党が7.4%(前回5.9%)、次世代の党が3.9%、社民党が3.2%(同3.0%)、生活の党が2.9%、新党改革が0.1%(同0.5%)の順だった。

 小選挙区の投票先では、自民党がトップの31.7%(同32.4%)、2位が民主党の28.5%(同27.1%)、3位が共産党の18.8%(同9.4%)、続いて維新の党11.2%。ここでも自民党の堅調と共産党の好調ぶりが示された。

 出口調査によると、自民党支持層のうち、比例代表で自民党に投票したとの回答は79.4%に達した。民主党に流れたのは3.0%にすぎず、自民党が支持基盤をしっかり固めている現状を浮き彫りにした。

 民主党に政権の座を明け渡した2009年の衆院選時の調査では、自民党支持層から自民党への投票が53.7%だったが、政権に返り咲いた12年の衆院選では81.0%に盛り返した。今回も前回水準を維持した形だ。

 連立を組む公明党への投票は7.3%で、自公選挙協力が一定程度進んでいる印象を与えた。維新の党への投票は5.1%、次世代の党へは2.7%だった。公明党支持層は95.4%が公明党に投票した。

 一方、民主党支持層から民主党への投票は83.8%に上り、自民党へは1.7%にとどまった。ただ民主党支持層は縮小傾向にあり、実際の得票数は大幅に減少しているとみられる。

 民主党と維新の党は候補者調整をしたものの、民主党支持層で維新の党に投票したと回答したのは4.3%だった。共産党に流れたのは4.2%、社民党へは2.4%だった。

 ≪経済政策 デフレ脱却が焦点≫

 経済政策では、アベノミクスの継続により景気を立て直し、デフレ脱却を実現できるかが焦点となる。アベノミクスを構成する金融緩和と財政出動、成長戦略のうち、力不足と指摘される成長戦略の実効性をどこまで高められるかが鍵を握る。

 足元では、消費税増税後に低迷する消費を早期に底上げできるかが課題で、新政権は家計支援策を盛り込んだ経済対策を年内にまとめる方針だ。

 来年度の予算編成作業は、衆院選の影響で例年より遅れている。政府、与党は30日にも来年度税制改正大綱を、来年1月14日にも来年度予算案をそれぞれ決定し、14年度中の予算成立を目指す。

 財政再建に向けては来夏までに具体的な計画をつくるとしているが、消費税再増税の延期などで、収支改善への道筋は一段と不透明になっている。

 エネルギー分野では、電力会社に再生可能エネルギーの受け入れを中断する動きが広がっており、導入加速と国民負担の抑制の両立に向け難しいかじ取りが続きそうだ。

 地方に大きな影響を与える農業改革や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への対応も課題となる。(SANKEI EXPRESS

 ■出口調査の方法 全国295の小選挙区で、その選挙の有権者の縮図となるよう投票所を選んだ。投票を終えた有権者に用紙を渡し、小選挙区で投票した候補者、比例代表で投票した政党、支持政党、第2次安倍政権の施策を評価するかについて記入してもらった。回答者総数は男性14万5826人、女性14万5317人の計29万1143人。1小選挙区当たりの平均は約986人。

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