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【まぜこぜエクスプレス】Vol.36 爆裂写真でハートをわしづかみ! 渡辺達生写真展「サルサガムテープ」

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【まぜこぜエクスプレス】Vol.36 爆裂写真でハートをわしづかみ! 渡辺達生写真展「サルサガムテープ」

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渡辺達生さんがレンズ越しにサルサガムテープのあふれ出るエネルギーを捉えた=2014年11月30日(渡辺達生さん撮影、提供写真)  川島なお美、島田陽子、武田久美子、秋本奈緒美、牧瀬里穂らの女優を撮り、写真集200冊以上を出版してきた“超グラビアカメラマン”の渡辺達生さんが、かしわ哲率いる究極のバリアフリーロックバンド、サルサガムテープとコラボレーション。アーティストとしての彼らの魅力をレンズ越しに捉えた、ハートをわしづかみにする写真展が12月22日から東京・六本木で開催される。

 ほとばしるエネルギー

 「未知の化学反応への期待」。達生さんに声をかけようと決心したとき、そんなことを考えた。

 2011年からチャンスがあればサルサガムテープと一緒にステージに上がってきた。メンバーは20代から60代と年齢に幅があり、それぞれの心身の特性もさまざまなバリアフリーロックバンド。彼らのライブでのパワーは生半可なものじゃない。ことあるごとにGet in touchでは映像や写真に記録してきたが、「撮りきれていない」という歯がゆさが残った。「彼らはもっとすごいはず!」と感じていた。セッションするように、バトルするように撮ってほしいと思った。だからといって、ただ挑むだけでは難しいだろう。メンバーの中には言葉でのコミュニケーションが難しい人や極端にシャイな人もいる。

 達生さんは、一世を風靡(ふうび)した男性誌『GORO』の創刊から篠山紀信氏とともに巻頭を飾るグラビアを撮ってきた二大巨匠のひとり。アイドルや女優を魅力的に撮るのはもちろんだが、街や風景などそれ以外の写真もまたすてきなのだ。陰影と愛がある。痛みがある。自身も大病をされた経験があるからかもしれない。被写体に向き合うときの、瞬発力のある思いやりと刹那的なクールさ。清濁併せのむカメラマンがレンズ越しに捉える、唯一無二のロックバンドのほとばしるエネルギーを見てみたいと思った。

 そこで今年4月2日の「Warm Blue Day」(世界自閉症啓発デー)でGet in touchが主催したライブに、半ば強引に「できれば撮ってほしい」と、詳しい説明もなく、足を運んでもらった。実は賭けだった。

 「なんだ、同じなんだ」

 後日、写真を見せてもらうため事務所にお邪魔した。すると、少年のようにエキサイトしている大ベテランがいた。「どう接していいのか最初はわかんなかった。完全無視で、目もあわせてくれないし…」。聞けば、達生さんに障がいをもった友人、知人はおらず、障がい者は今まで「想像の中の人たち」だったそうだ。けれども実際会ってみると「なんだ、同じなんだ」とホッとしたのだという。

 そして、いつもの優しい笑顔で、「フツウに接していいんだよな。あいつらいいねー! もっと撮りたいねー」と。超多忙なスケジュールと、今後のライブの日程とのにらめっこが始まった。

 達生さんは「ライブの写真は誰でも撮れるような気がするけど、僕はメンバーの笑顔が撮りたい」と話す。撮られる側と撮る側のバトルともいえる、緊張と笑い。「どうコミュニケーションをとるのか」と聞くと、ニヤリと笑い「男の子は下ネタだよ。下ネタ」と。ここにも「フツウでいいんだよな」があった。「下ネタ。たぶん通じると思う。こないだ、それがわかった」と、まるでワルガキのようにいたずらっぽく笑う。

 「サルサガムテープにカメラを向けて何か変わった?」という問いにも、「彼らみたいな障がいを持った人を見る目が変わった。今までは無意識のうちに壁を作っていたんだな。でもそれは、一朝一夕ではなくならないと思う」と、ストレートな言葉で答えてくれる。あー、写真って、被写体のみならず、撮る人も写り込むものなんだなぁと感じた。

 折しもサルサガムテープは20周年の節目の年。写真集に、写真展に…容易ではないが、勝手に妄想が始まった。

 そして、その妄想を巨匠カメラマンは現実に! 今回の写真展ではライブはもちろん、バックステージでの彼らの表情も捉えた写真40~50作品を展示。中には横幅1.5メートルくらいの大きな作品もあるという。展示終了後、作品はサルサガムテープが所属するNPO法人「ハイテンション」に寄贈したいとのこと。神奈川県厚木市にあるハイテンションの施設の壁にこの写真が! なんてクール。ロックを仕事にしている日本で唯一の福祉事業所がますますロックする!

 (女優、一般社団法人Get in touch代表 東ちづる/SANKEI EXPRESS

 【ガイド】

 ■渡辺達生写真展「サルサガムテープ」 2014年12月22~28日、「六本木スペース ビリオン」(東京都港区六本木4の4の5 メゾン六本木3F)で開催。問い合わせはinfo@billion-roppongi.comまで。

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