ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
国際
混乱再燃か 学生ら道路占拠の動き 香港 選挙改革プロセス再開へ
更新
「真の普通選挙が必要だ」と書かれた黄色い紙を掲げるデモ参加者=2014年11月、中国・香港(共同) 2017年次期行政長官選の民主化を求め、約2カ月半も大規模デモが続いた香港で、中断していた選挙制度改革プロセスが7日に動きだす。学生らは再び幹線道路を占拠して政府に圧力をかけることも検討しており、混乱再燃への懸念が広がっている。
行政長官は従来、親中派が大半を占める選挙委員会での投票で決まっていた。中国は14年8月末、次期長官選に「1人1票」の普通選挙を導入するものの、反中姿勢の強い民主派には立候補を事実上認めない制度改革案を決定。これが大規模デモの発端となった。
学生らは、誰でも立候補できる「真の普通選挙」を求め、決定の撤回を要求して79日間にわたり幹線道路を占拠した。しかし中国は一切譲歩せず、香港政府による強制排除でデモは収束。改革は、中国の改革案に沿って進むことになった。
香港政府は7日、具体的な改革案作成に向けて市民からの意見募集を開始する。期間は2カ月程度とする方針だ。
3月上旬には改革の政府案を作成して、立法会(議会)に提案。可決されれば、梁振英行政長官の同意と中国全国人民代表大会(全人代)の承認を経て、普通選挙実施が確定する。
しかし立法会での可決には高い壁が立ちはだかる。可決には全70議席の3分の2以上となる47人の賛成が必要だが、親中派議員は43人。27人の民主派議員は全員が反対の姿勢を示しており、改革案が否決されれば17年の普通選挙は白紙に戻る。
デモを主導した学生団体の周永康代表は、民主派議員が賛成票を投じれば市民の支持を失い次の選挙で落選すると指摘、改革案は「99.99%否決される」とみる。さらに22年の次々回長官選での悲願実現に向け、政府に新たな改革プロセスを始めさせるため、幹線道路の再占拠を含めた抗議行動を検討している。
一方、香港当局による運動封じ込めの動きも出てきた。1月6日付の香港各紙によると、香港警察は周代表や民主派の立法会議員らに出頭を求めた。違法集会などの容疑で30人以上を逮捕する方針としているが、拘束期間など詳細は伝えられておらず、逮捕による運動への影響は不明だ。多くは来週以降の出頭を求められているという。
習近平国家主席は14年12月、香港とマカオに保障された「一国二制度」について「『一国』の原則を堅持し、『二制度』の違いを尊重しなければならない」と表明。中国系香港紙は「中国が今後『一国』をさらに強調する」方針を打ち出したとの見方を紹介し、香港で民主化の動きへの締め付けが一段と厳しくなるとの見通しを示した。
香港紙記者は「中国は買収や脅迫など、どんな手を使っても民主派議員を抱き込むだろう」と分析。香港政府は立法会が休会になる7月までに何としても改正案を可決させる思惑で、攻防が激しさを増すのは確実だ。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪中国 税金の無駄遣いなど2万3000人処分≫
中国共産党中央規律検査委員会は6日までに、習近平指導部が掲げている税金の無駄遣いなどを戒めた「8項目の規定」に違反したとして、昨年1年間で党幹部ら2万3646人を処分したと発表した。2013年の1年間で処分された7600人余の3倍となった。
汚職や職権乱用などで摘発された閣僚・省長級以上の高級官僚も昨年1年で40人となり、13年の22人から倍増。中国誌は「あぶり出せたのは、ほんの少数にすぎない」とする当局者の分析を紹介、習指導部が今年も大々的に反腐敗運動を展開するとの見通しを示した。
規律検査委員会によると、昨年1年間の8項目に関する違反は約5万3000件で、約7万1000人が摘発され、うち2万3646人が党の処分を受けた。
規律検査委員会は公費での接待、高級な酒やたばこ、食品などの贈答、規定違反の出張を禁じたほか、公用車と公的住宅の利用を制限してきた。また党幹部の違反について電話やインターネットを通じた告発を奨励して監視態勢を強化してきた。
一方、官僚の間では特権が削られたことによる“収入減”に対する不満が深まっており、仕事をできるだけ避けるなどの怠慢が拡大しているとされる。(共同/SANKEI EXPRESS)