ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
国際
【香港民主化デモ】4000人投入 わずか1時間で制圧 幹線道路のバリケード撤去
更新
香港の九竜地区の繁華街モンコック(旺角)で、デモ参加者を強制的に排除する警官。当局側はバリケードやテントの撤去をほぼ完了した=2014年11月26日、中国(ロイター) 香港の裁判所執行官らは26日午後、デモ隊の強硬派が集まる九竜地区の繁華街モンコック(旺角)で、幹線道路「ネイザンロード」に設置されたバリケードやテントの撤去を完了し、車両通行をほぼ復旧させた。撤去中にデモ隊が激しく抵抗し、厳戒態勢を敷いていた警官隊が強制排除した。
旺角での強制排除は2日連続。25日深夜以降、旺角で警官隊とデモ隊が断続的に衝突し、警察は計148人を逮捕した。
次期行政長官選の民主化を求める大規模デモで、一度に100人以上の逮捕者が出たのは初めて。9月28日のデモ開始以来、最大規模の衝突となった。学生団体は26日、デモのリーダーの一人である黄之鋒さんが逮捕されたと明らかにした。
ネイザンロードは数百人のデモ隊が占拠しており、警察は4000人以上の警官隊を投入。100人以上の執行官らと共に、次々と鉄柵などのバリケードやテントを撤去した。
「これが最後の警告だ。今すぐ立ち去るように」。スピーカーの声が商業ビル街にこだました。バリケードを乗り越え突進してきた警官隊を見て逃げるデモ隊。約1時間で目抜き通りは制圧され、2カ月続いた混乱が嘘のような静けさに。「隙があれば奪い返す」。道路脇に追いやられた若者は警官をにらみつけた。
香港警察はデモ隊を数で圧倒し、一気に強制排除する強硬策に出た。26日朝、ネイザンロードのバリケード前で裁判所の執行官が強制執行命令を読み上げた。現れたのはそろって赤い帽子をかぶり、「I LOVE HK(香港)」と書かれたTシャツを着た約100人の作業員。「政府の回し者め」。デモ隊から怒声が上がった。
抵抗が激しくなるとみた警察は、作業員らを退避させ、自ら強制撤去に当たると宣言。積み上げられた木の板を次々と取り除き始めた。布団などを踏みつけて前進し、テントを片っ端から引き倒す警官隊の圧倒的な数とスピードに、デモ隊はじりじりと引き下がるしかなかった。
抵抗した若者を数人掛かりで地面に押さえつけて拘束。催涙スプレーのタンクを背負った警官の姿に、デモ参加者が慌ててマスクやゴーグルを手にする場面も。「真の普通選挙を実現せよ」。シュプレヒコールだけがむなしく響く。
約1時間後、約500メートルの大通りからはデモ隊の姿が完全に消えた。前日、ネイザンロードに交差する別の通りで強制撤去を行った際、繰り返しデモ隊に撤収を呼び掛け、約30メートルの撤去に約5時間かけたのとは全く異なる対応だった。
無造作に積み上げられたテントの骨組みや布がトラックに積み上げられていく様子を、道路脇で若者たちがぼうぜんと見守った。「ここで撤収したら今までの抗議が無駄になる。何とかもう一度、道路を取り返したい」。ヘルメットをかぶった男性(30)は手製の木の盾を握りしめた。(共同/SANKEI EXPRESS)