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【香港民主化デモ】香港政府「デモ解散を」 主張対立 学生側と初対話

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【香港民主化デモ】香港政府「デモ解散を」 主張対立 学生側と初対話

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記者会見で対話による事態収拾を表明した香港の梁振英行政長官=2014年10月16日、中国・香港(AP)  香港で続く大規模デモで、香港政府と学生代表との対話が21日夜、現地の教育施設で行われた。政府側がデモ隊側の主張を直接聞くのは9月28日のデモ開始以降、初めて。対話は大学校長会の会長が司会を務め、政府側から政府ナンバー2の林鄭月娥(キャリー・ラム)政務官(57)ら5人、学生側から大学生連合会(学連)の周永康事務局長(24)ら5人が出席した。対話はテレビで生中継された。

 林鄭氏は冒頭、「学生の訴えは政府、中央(中国)双方の耳にはっきり届いている」と述べた上で、「大局」を考慮し、デモ参加者に退去を呼びかけるよう求めた。また、デモの原因となった2017年の行政長官選の改革案について、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)が8月末に決定した改革方針が「永遠に適用されるわけではない」と述べ、一旦は受け入れ、将来の再改正を待つべきだと訴えた。

 これに対し、学生側は、デモの解散には政府側の譲歩が必要だとした上で、改革案は立候補のハードルを上げるもので、民主化の方向に「逆行する」と主張。また、候補者を決める「指名委員会」の構成を職能団体別とせず、民主的な構成とするよう求めた。

 その上で、全人代の決定の前提となった梁振英行政長官(60)の報告は「民意を反映していない」として、「補充報告」を行うべきだと主張した。梁氏は21日午前の記者会見で、指名委は職能団体別の構成を維持する方針を強調している。(香港 田中靖人/SANKEI EXPRESS

 ≪中国が賛同芸能人締め出し 収入源狙う≫

 中国メディアを統括する共産党中央宣伝部が21日までに、香港で続く民主化デモを支持したとして、約20人の香港や台湾出身の歌手、俳優、映画監督らを中国本土から締め出す方針を固めたもようだ。近く国家ラジオ映画テレビ総局などを通じ、メディア関連各社に通達するという。

 共産党関係者が明らかにしたところでは、対象となるのは香港の俳優、張家輝(ニック・チョン)氏(49)、黄秋生(アンソニー・ウォン)氏(53)、歌手の何韻詩(デニス・ホー)氏(37)ら。数人の台湾出身の芸能関係者もいる。デモ隊の先頭を歩いたり学生団体を支援する新曲を発表したりしたほか、インターネットで香港当局の対応を批判する声明を発表するなど、積極的に関わっていた。

 通達には、対象となる芸能関係者は今後、中国本土における映画、広告、テレビ・ラジオ番組への出演が禁止され、コンサートの開催も認められず、ゲストとしてイベントに招待できない-といった内容が盛り込まれているという。

 香港のマーケットはそう大きくないため、ほとんどの芸能関係者は中国本土で活動している。対象となる有名人らの収入が激減するのは必至だ。

 親中派には「褒美」

 今回の措置について、あるメディア関係者は「言うことを聞かない者への罰という意味があり、他の芸能関係者が彼らに同調するのを牽制(けんせい)する目的もあるだろう」と話している。

 中国国内の若者を中心に、多くのファンを持つ香港や台湾の芸能関係者がデモへの支持を表明したことで、共産党宣伝部のデモ批判キャンペーンがなかなか浸透しなかったことも、当局の厳しい対応につながったと指摘する声もある。

 一方で、香港の芸能関係者の中には、中国当局の立場を支持し、デモに反対する姿勢を示した俳優のジャッキー・チェン氏(60)、歌手の陳小春(ジョーダン・チャン)氏(47)ら“親中派”と見なされた人々もいる。通達は彼らの“処遇”に触れていないが、「ご褒美として当局発注の仕事が増える可能性がある」とみる中国のメディア関係者もいる。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS

 ■香港の行政長官選問題 香港には中国共産党の一党独裁体制下で「高度な自治」を認める「一国二制度」が適用され、憲法に当たる「基本法」は将来的な普通選挙を導入する目標を規定した。中国の全国人民代表大会(国会)常務委員会は8月31日、香港特別行政区のトップである行政長官を選ぶ2017年の選挙では、全ての有権者に「1人1票」を認める普通選挙を実施することを決める一方、民主派を事実上排除する立候補資格制度の導入を決定したことから、香港で反発が広がった。

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