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香港デモ鎮圧の切り札は「スパイ」だった 電話やメール傍受…徹底監視
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コーズウェイベイ(銅鑼湾)でデモ隊拠点のバリケードを撤去する香港警察の警察官=2014年12月15日、中国・香港(AP) 香港大規模デモで香港警察は15日午後、最後まで残っていたデモ隊拠点、コーズウェイベイ(銅鑼湾)のバリケードを撤去、拠点内に座り込んでいた17人を逮捕した。これにより約2カ月ぶりに香港での全ての交通が正常化し、デモは民主化要求が受け入れられないまま79日目に完全収束した。欧米メディアの報道によると、デモ鎮圧の切り札となったのが、中国政府による民主活動家らへの徹底した監視だ。中国軍が香港に設けた一大盗聴拠点を介しターゲットの電話内容や電子メールを傍受していたほか、民主派議員に本国の尾行要員を張り付けるなどしていた実態が次々と明らかになった。
「あなたが(香港の民主化を訴える)反政府活動家で、携帯電話か普通の固定電話を使っているなら、通話内容は中国当局によって間違いなく盗聴されていると考えるべきだ」
米国のサイバーセキュリティー企業「クラウドストライク」の共同創業者、ドミトリー・アルファーロビッチ氏は12月14日付英紙ガーディアン(電子版)で、中国当局による民主活動家へのスパイ活動に疑いの余地はないとの認識を示した。
ガーディアン紙は、11月26日に当局に逮捕された学生デモ団体のリーダーの一人、岑敖暉(レスター・シャム)さんの体験談も紹介。それによると、シャムさんは香港の学生自治会のリーダーに選ばれた直後、「国家による攻撃者(ハッカー)があなたの個人情報やコンピューターを危機に陥れようとしている」との不思議な電子メールを受け取った。
さらに電話で話していると、エコー音や変な話し声が聞こえるようになった。香港在住のシャムさんの友人たちは広東語を使うのに、「(雑音からは広東語ではなく)中国語を話す人々の声が聞こえてきた」(シャムさん)。このため、本土から通話を盗み聞きされていると確信したという。
こうした証言は誇張ではない。多言語メディア、エポック・タイムズ(大紀元、電子版)は、軍事誌の衛星画像情報などを基に、中国軍が香港最高峰の大帽山(たいもうさん、標高957メートル)に、香港の住民の電話での通話や電子メール、無線LANの電波などを傍受する一大盗聴拠点を造り、2011年から稼働させていると報道。盗聴拠点は敷地面積約93アールで、民間航空会社のレーダー局より大型の直径15メートルの円形レーダーを備え、約50人の中国兵が周辺を警備しているが、香港政府は公の存在として確認していないとしている。
こうした中国側のスパイ活動は、サイバー空間だけの話ではない。12月15日付ロイター通信によると、民主化運動を支援する香港民主党の●(=さんずいに余)謹申(ジェームス・トゥ)議員は今年8月、ほぼ毎日、銀色のベンツ2台に尾行された。彼が通勤先の行政機関「香港特別行政区立法会」に着くと、2台のベンツは近くの公園で彼を待ち続けた。
議員は8月11日、2台のベンツのナンバーを控え警察に通報。8月12日、警察は56歳と54歳の中国人男性を逮捕し、ベンツを押収したが、2人は香港の民主活動家を監視する中国当局のスパイだった。結局2人はすぐに釈放されたという。
ロイター通信は、中国当局が香港の警察官や民間警備会社のOBを工作員として雇い、議員や活動家、学者、宗教家らを監視していると報道。現在、約20人が本土からの工作員に交じり、スパイ活動を展開していると伝えた。
中国当局は「ハッキングには反対の姿勢であり、われわれこそ(ハッカーの)最大の被害者だ」としているが、香港の学生や弁護士からは非難の声が上がっており、それを信じる人々は少数派だ。
香港警察は15日、デモに絡みこれまでに計955人を逮捕し、計221人のデモ隊が病院で治療を受けたほか、警官130人が負傷したと発表。
梁振英行政長官は「違法な道路占拠は一段落した」と収束を宣言した上で「香港人は、どのような民主主義を追求していくのかについて反省して総括するべきだ」と述べた。(SANKEI EXPRESS)