SankeiBiz for mobile

【オウム高橋被告初公判】「サリンと知らなかった」 無罪主張

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの社会

【オウム高橋被告初公判】「サリンと知らなかった」 無罪主張

更新

地下鉄サリン事件の裁判員裁判初公判に臨み、証言台の前に座る元オウム真理教信者の高橋克也被告=2015年1月16日、東京地裁(イラスト・井田智康)  今年3月で発生20年となる地下鉄サリン事件など4事件に関わったとして、殺人罪などに問われた元オウム真理教信者、高橋克也被告(56)の裁判員裁判の初公判が16日、東京地裁(中里智美裁判長)で開かれた。高橋被告は地下鉄サリン事件について「まかれたものがサリンだとは知らなかった。殺害の共謀もありません」と無罪を主張した。地下鉄サリン事件では初の裁判員裁判で、この事件を裁く最後の裁判。判決は4月下旬の見通し。

 高橋被告はVXガス事件も無罪を主張。東京・目黒公証役場事務長監禁致死事件と都庁郵便物爆発事件で起訴内容の一部を否認した。

 高橋被告は1995(平成7)年3月20日午前8時ごろ、元教祖の麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(59)らと共謀、都内の地下鉄でサリンを散布させ、乗客や駅員らを死傷させたなどとして起訴された。

 教団元幹部の確定判決などによると、高橋被告は実行役の豊田亨死刑囚(46)を日比谷線中目黒駅まで車で送ったとされる。

 公判は裁判員裁判では最多の41回を予定。元教団幹部の井上嘉浩死刑囚(45)ら死刑囚6人を含む28人が証言する。

 一連のオウム事件の刑事裁判は麻原死刑囚ら13人の死刑を含む189人全員の判決が確定し、2011年にいったん終結。その後、高橋被告ら3人が12年に逮捕され、昨年1月に約2年ぶりに再開された。

 平田信(まこと)被告(49)は懲役9年、菊地直子被告(43)は懲役5年の判決を受けていずれも控訴している。

 ≪検察と弁護側 事件背景めぐり対立≫

 高橋克也被告は法廷で地下鉄サリン事件での無罪を主張、弁護側は起訴内容すべてで争う姿勢を示し、冒頭陳述では教団と被告との関わりや独特の教義から事件を解き明かそうとした。一方、検察側は裁判員に「客観的証拠からどのような事実が認められるかを明らかにしていくことが大切」と述べ、事件の特異性や背景に過度に関心を向けないようくぎを刺した。

 「動機立証に限界」

 「犯行の背景事情や動機について立証することには限界がある。それらを立証しなければ、犯罪が成立しないというわけではない」

 冒頭陳述の後半で検察側はこう強調した。

 検察側は冒頭陳述で地下鉄事件など4事件について「教団による組織的な犯行だ」と指摘。その上で、高橋被告は1994年6月から、井上嘉浩死刑囚がトップを務めた「諜報省」に配属され、非合法活動を繰り返してきたと強調。麻原彰晃死刑囚から「帰依心の強い人間で違法な行為をすることも辞さない信者」として認められていたとした。

 一方の弁護側は、麻原死刑囚が4事件を発案し、側近の最高幹部が立案したと主張した。「まさに教祖の犯罪であり、高橋被告の犯罪ではない」と強調した。

 教団の犯行に至る背景事情なども強調し、「麻原死刑囚の指示は絶対的」という教団独自の教義「ヴァジラヤーナ」を説明。その上で「教団では教祖や上司の指示は絶対で、命令に背いたり疑問を提起したりすれば地獄に落ちると考えられた」と主張した。

 「指示されただけ」

 地下鉄サリン事件では、検察側が、高橋被告と元幹部との共謀が成立すると主張したのに対し、弁護側は「茶褐色の液体を見たが誰も説明してくれず何か分からなかった。サリンをまくとは考えなかった」と無罪を主張。VXガス事件でも「井上死刑囚から指示され、送迎などをしただけで、VXの威力も知らなかった」と元教団幹部らと共謀があると主張した検察側に反論した。

 他の起訴された2事件でも弁護側は起訴内容の一部を否認。公証役場事務長監禁致死事件では「老人を車に押し込むのを手伝っただけで、死亡との因果関係はない」と、事務長との認識すらなかったと主張。都庁郵便物爆発事件では「捜査を攪乱(かくらん)するために起爆装置を作ったが、人の命を狙うことは考えなかった」と述べた。(SANKEI EXPRESS

 ■地下鉄サリン事件 1995年3月20日午前8時ごろ、警視庁や中央省庁が集まる営団地下鉄(現東京メトロ)の霞ケ関駅を通る3路線(日比谷、千代田、丸ノ内)5車両で猛毒のサリンがまかれた。オウム真理教の教祖、麻原彰晃死刑囚らの確定判決で認定された死者は12人。警察庁は、事件直後に入浴中、死亡した男性を加えた13人を犠牲者としている。事件2日後、富士山麓にあった教団施設などへの強制捜査が始まった。

ランキング