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25年ぶり奇跡の再会 ハリウッド映画化 インド GoogleMapで故郷の母捜す

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25年ぶり奇跡の再会 ハリウッド映画化 インド GoogleMapで故郷の母捜す

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グーグルマップを頼りに、生き別れとなった母親、ファティマ・ムンシさん(左)と再会を果たしたサルー・ブライアリーさん(中央)。奇跡の実話は映画化される=2012年2月15日、インド・マディヤ・プラデーシュ州カンドワ(AP)  5歳の時に孤児となり、オーストラリア人家族に引き取られた後、豪州で実業家となったインド人男性が2011年、米グーグルの地図サービス「グーグルマップ」を使って故郷を捜し当て、翌年、25年ぶりに母親と再会を果たした感動の実話が米ハリウッドで映画化されることが23日までに分かった。男性は12年、自身の半生をつづった自伝「ア・ロング・ウェイ・ホーム(故郷までの長い道のり)」を出版しており、映画はこの自伝が元になるという。公開時期は未定だが、ヒュー・ジャックマン(46)やニコール・キッドマン(47)らの出演が決定。既にインドのコルカタ(旧カルカッタ)で撮影も始まっている。

 5歳、列車ではぐれて

 物語の主人公であるサルー・ブライアリーさんの半生は、俄(にわか)には信じがたいほど劇的だ。1月20日付米紙ニューヨーク・デーリー・ニューズや22日付英紙デーリー・テレグラフ(いずれも電子版)など多くの欧米メディアが報じた。

 インドの貧しい農村で1981年に生まれたブライアリーさんは、幼い頃から駅で物ごいするため、兄と2人でたびたび列車の旅に出た。ところが5歳の時、途中の駅で居眠りしてしまった。目が覚めた時、“兄とはぐれる”と慌てて目の前の列車に飛び乗ると、列車に兄はいなかった。「あの時の一瞬の判断が、私の人生を永遠に変えたのです」(ブライアリーさん)

 言葉もわからず、知人もいないブライアリーさんは、ひとりで電車に揺られ、故郷の街から約1600キロ離れたインド北東部のコルカタにたどり着き、しばらく路上で物ごい生活を続けた。

 やがて警察に保護された後、孤児院に入れられ、運良く慈善団体の助けでオーストラリア・タスマニア州に住むブライアリー夫妻に引き取られた。シェル・ムンシ・カーンからサルー・ブライアリーに名前が変わり、豪州国籍を取得して新たな人生が始まった。

 滝やダム記憶頼りに

 英語を習得したブライアリーさんは、首都キャンベラにあるオーストラリア国際ホテルスクールでビジネスと接客などを学び、実業家として成功を収めた。しかし、故郷を忘れたことは一度もなかったという。

 「市や町の名前は覚えていなかったが、滝やダムといった象徴的な風景は覚えていた」ことから、何年もかけて記憶を頼りにグーグルマップの衛星拡大地図を丹念に調べ、交流サイト、フェイスブックの力を借り、幼い頃に見た光景が、インド中部マディヤ・プラデーシュ州のカンドワ近郊の小さな村であることを突き止めた。翌12年、ブライアリーさんは現地を訪ね、母親と奇跡的な再会を果たした。

 「たどり着いた自宅は空き家のようで、家族全員が既に亡くなったという最悪の結果も頭をよぎりました。でも、中から女性らが出てきて、母に会わせてくれました。母は生きていました。信じられませんでした…」

 14億2000万円で権利購入

 このニュースは英BBC放送など世界のメディアが驚きを持って報道し、時の人となったブライアリーさんは自伝を執筆。昨年5月のカンヌ国際映画祭で、ハリウッドの独立系映画会社ワインスタイン・カンパニーがこの物語の映画化権を1200万ドル(約14億2000万円)で購入した。この作品の配給元トランスミッション・フィルムはテレグラフ紙に「これまでで最も信じがたく感動的な実話のひとつだ」とアピールしている。(SANKEI EXPRESS

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