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児童売春なお 断てぬ貧困の連鎖 インドNGO サトヤルティさん平和賞に喜び

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児童売春なお 断てぬ貧困の連鎖 インドNGO サトヤルティさん平和賞に喜び

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インド北部バラナシのグリアの施設で、黙想の準備をする売春街の子供たち=2014年12月9日、インド・ウッタルプラデシュ州(岩田智雄撮影)  ノーベル平和賞を受賞したインドの人権活動家、カイラシュ・サトヤルティさん(60)は、母国の児童労働の根絶に取り組んできたが、その状況はいまなお深刻だ。なかでも、貧困層が多い北部ウッタルプラデシュ州では、児童売春を強いられる少女が少なくない。ガンジス川を抱く仏教とヒンズー教の聖地バラナシにある州最大の売春街では、娘を母親と同じ売春の職に就かせないための努力が続けられていた。

 「父親わからない」

 売春街は町の中心バラナシ駅からわずか2.5キロのところにあった。長さ1.5キロほどの路地沿いで約350人の女性が働いている。入り口近くに、児童売春・労働から子供を救う活動をしている非政府組織(NGO)「グリア」のビルがある。

 売春街で働く女性の子供50~60人が、広間で黙想を始めた。すると、施設に通って4年になる少女、シャシさん(13)が涙を流し出した。

 「子供たちは日ごろ、学校や地域で売春婦の子供だとののしられ、傷ついている。ほとんどみな、父親が誰なのかわからない。心に闇を抱えている」

 グリアを運営するサントラ・マンジュさん(34)はこう話した。

 ここでは黙想や工作、描画、授業を通じて子供に心のケアを行っている。インドでは、大人の売春は売春宿を使ったり、あっせん業者を通じたりしなければ合法だが、18歳未満は違法。かつてこの通りには少女があふれていたが、グリアの活動で約10年前に姿を消した。少女らは別の仕事に就くようになり、シャシさんも「将来は先生になりたい」と話す。ただ、依然として3~4割の少女は別の場所を見つけて売春するようになるという。

 親が業者に売る

 政府の2011年の調査では、国内で労働を強いられている5~14歳の子供は減少傾向にあり、売春を除き435万3000人としている。しかし、実態はもっと多いというのが通説で、国連児童基金(ユニセフ)は2800万人に上ると推計する。09年に120万人が児童売春を強要されたとの別の政府調査もある。

 マンジュさんの夫でグリア代表のアジート・シンさん(44)は「児童売春は増えているという印象だ。経済が発展したというが、貧しい者はいっそう貧しくなっている」と訴えた。貧困家庭では、良い働き口があるとか、ダウリ(持参財)なしで娘の嫁ぎ先があるといった話に乗せられ、親が子供をわずかな金額で人身売買業者に売り渡してしまう。「売春女性の大半はカースト制の不可触民やシュードラなど下位層の出身者。この世界に入った少女は稼ぎの8割を巻き上げられ、奴隷的労動を強いられる」

 ノーベル平和賞受賞者のサトヤルティさんもウッタルプラデシュ州で数年前、れんが工場などで働かされる子供を救出した。シンさんは今回の受賞について、「この地域の問題が注目され、私たちのようなNGOの活動にも日が当たった」と、喜んでいる。(インド北部バラナシ 岩田智雄/SANKEI EXPRESS

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