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小説家になると思っていた 映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」 E・L・ジェームズさんインタビュー

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小説家になると思っていた 映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」 E・L・ジェームズさんインタビュー

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著者のE・L・ジェームズさん=2015年1月15日(高橋天地撮影)  子育てを終えたロンドン在住の一般女性、E・L・ジェームズ(51)がインターネットに官能小説を投稿するや、作品は世界50カ国で次々と書籍化され、ベストセラーとなった。小説はサム・テイラー=ジョンソン監督(47)の手で「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」として実写映画化された。大企業の若きCEOを相手に過激な性的嗜好へとのめり込んでいく恋愛経験のない女子大生の姿が鮮烈に描かれている。

 ふさわしくない恋人

 初来日したジェームズは「幼い頃から作文が得意で、学校ではよく先生がみんなの前で私の作文を読んでくれました。思春期には友達とファンフィクションも執筆していたんですよ。いずれ小説家になるだろうとは思っていました」と声を弾ませた。

 卒業を控えた大学生のアナ・スティール(ダコタ・ジョンソン)は、親友から学生新聞の取材を頼まれ、若くして億万長者となった大企業CEO、クリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)にインタビューを行った。これをきっかけに2人は恋に落ちたのだが、アナはクリスチャンから交際上の守るべきルールが記された契約書を提示され…。

 ジェームズによれば、原作小説は、バンパイアと人間の恋愛を描いた大ベストセラー「トワイライト」シリーズの強い影響を受けたものだという。「主人公とヒロインがお互いに恋人としてふさわしくない立場に置かれているという部分はそっくりでしょう。恐らくトワイライトの原型は『美女と野獣』でしょうね。私が自分の小説でBDSM(ボンデージ、ディシプリン、サディズム、マゾヒズムの頭文字を取り、人間の嗜虐的な性的嗜好を示す言葉)を扱ったのは、バンパイアの比喩という意味合いもあるんですよ」

 母性本能に訴える

 原作小説の大ヒットをどう見ているのだろう。ジェームズは「まずは女性が大好きな情熱的なラブストーリーに仕立てたことが大きいでしょう。2つ目は一人称の現在形で書いた点。読者にすれば読みやすいでしょうし、アナの気持ちになって一緒に体験もできます。3つ目は、社会的に成功をおさめたクリスチャンの内面にダークな部分を併せ持たせたこと。彼は契約で縛ることでしか女性を愛せません。『彼をまともな方向に導くことができるのは私しかいない』と感じるアナの心情はきっと女性心理や母性本能に訴えるものでしょう」と分析してみせた。

 それにしても淡い初恋の物語に、激しい性描写を持ち込んだ意図は? 「大昔、私が体験した初恋は、大いにセックスを伴ったものだったからよ」。2月13日、全国公開。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS

 ■E.L.James 1963年3月7日、ロンドン生まれ。ネットに投稿した小説は、その後、3部作「Fifty Shades Trilogy」として書籍化され、累計1億部突破の空前のベストセラーとなった。昨年解禁された映画の予告編は1週間で再生回数1億回を突破。「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」の続編2本の映画化も決定した。

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