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ソニー攻撃 正恩氏「軍師」の指示か CIA、サイバー対応強化へ大幅改編

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ソニー攻撃 正恩氏「軍師」の指示か CIA、サイバー対応強化へ大幅改編

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サイバー攻撃のきっかけとなったコメディー映画「ザ・インタビュー」のポスター=2014年12月、米カリフォルニア州ロサンゼルス(ロイター)  北朝鮮による米映画会社へのサイバー攻撃は、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の側近で工作機関「偵察総局」トップの金英哲(ヨンチョル)総局長が直接、指示した疑いが強いことが7日、中朝関係者らへの取材で分かった。正恩氏の“軍師”を自任する英哲氏が「北朝鮮の攻撃だとはばれない」と押し切り、正恩氏が黙認したという。一方で、米政府の制裁など国際的孤立を招く英哲氏の強硬路線には、政権内でも不満がくすぶる。

 好戦的かつ論理的

 金正恩氏を揶揄(やゆ)する映画を制作したソニー・ピクチャーズエンタテインメントへの昨年11月下旬のハッキング事件では、米政府が「北朝鮮の犯行」と断定、関与が疑われる偵察総局や英哲氏を含む3団体と10人に今年1月制裁を科した。

 犯行の背景について米当局は明かさなかったが、最近、偵察総局の幹部が「英哲氏が昨年11月に直接、ハッキングを指示した」と中朝関係者に証言した。英哲氏が「米国は偵察総局の攻撃だとは技術的に確認できない」と強硬に主張し、実行されたという。

 英哲氏の強硬意見が通るのは正恩氏との関係の深さにある。消息筋によると、英哲氏は朝鮮人民軍出身で、後継者に内定する前の正恩氏の戦術面の講師を務め、「皇太子時代に軍事学を授けた帝王の師」を自任する。好戦的で論理的な話術に、正恩氏も傾倒していたという。

 偵察総局は正恩氏の後継体制を見据え、2009年に朝鮮労働党作戦部や35号室(対外情報調査部)、軍偵察局など工作機関を統合し発足した。初代総局長となった英哲氏が、金正日(ジョンイル)総書記時代までは現場ごとに上げていた報告を一括し、「若い指導者の心をひく進言」を取捨選択する立場を手にした。

 英哲氏は10年3月の韓国哨戒艦撃沈や10年11月の延坪(ヨンピョン)島砲撃を主導し、多大な戦果と見なされたとされる。だが、今回のサイバー攻撃では、過去の韓国の金融機関などへの攻撃と類似したプログラムが検出されたことから、英哲氏の主張とは裏腹に足が付いた。

 「不満分子」が証言

 拘束した米国人3人を解放するなど米朝対話を模索する中、対米関係の決裂をもたらしたことで、外務省など他部門の反発は小さくない。偵察総局内でも、海外の危険な前線任務を旧35号室など党系列の工作員ばかりに負わせるやり方に不満が高まっているという。

 英哲氏の指示を証言した幹部も35号室出身だった。

 北朝鮮は最近、米韓合同軍事演習に反発して日本海にミサイルを発射するなど強硬姿勢をみせている。英哲氏は軍事・対外工作分野で依然として大きな発言力を保持するため、その強硬路線を反映して正恩政権が今後、挑発をエスカレートさせる可能性もある。(桜井紀雄/SANKEI EXPRESS

 ≪CIA、サイバー対応強化へ大幅改編≫

 米中央情報局(CIA)のジョン・ブレナン長官(59)は6日、サイバー分野への対応能力を強化するため、CIAの組織を見直すと公表した。ロイター通信は、CIAとしては「最大規模の組織改編」になると報じた。

 ソーシャルメディアなど情報技術の急速な普及に伴い、サイバー分野に人材と資源を集中させる必要があると判断した。ロイターによると、ブレナン氏は「われわれの責任を果たすことが困難になっている」と述べ、時代に合った組織づくりが急務だと表明した。

 新たな組織計画によると、最先端のサイバー技術に対応する新たな部局をCIA内に創設。地域や課題ごとに人材を集約する10グループの「任務センター」も立ち上げ、責任の明確化と業務の効率化の両立を図る。

 CIAは米国最大の情報機関。国外での工作員を使ったスパイ活動などで情報収集し、外交安全保障政策の決定に必要な機密情報を大統領や国家情報長官に提供する。

 AP通信は、CIA当局者の話として、今回の組織改編による議会の承認や新たな予算措置は必要ないと伝えた。(共同/SANKEI EXPRESS

 ■米映画会社へのサイバー攻撃 金正恩氏の暗殺を描いたコメディー映画「ザ・インタビュー」を制作したソニーの子会社、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメントにサイバー攻撃が仕掛けられ、有名俳優の個人情報などが大量に流出した。劇場へのテロ予告もあり、大手が公開を中止したが、「テロに屈するな」との声が高まり、独立系映画館が公開。北朝鮮は関与を否定し続けている。

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