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【佐藤優の地球を斬る】ロシアの対北窓口が判明 パイプ構築急げ
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北朝鮮の金正恩第1書記=2015年2月23日、北朝鮮・首都平壌市(ロイター) 北朝鮮の李龍男対外経済相が17~24日、ロシアのウラジオストク、ハバロフスク、モスクワを訪問した。露国営ラジオ「ロシアの声」が24日、本件に関する興味深い論評を報じた。
<北朝鮮の李龍男対外経済相の訪問目的について、ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮モンゴル部のアレクサンドル・ヴォロンツォフ部長は露北朝鮮関係の拡大問題を話し合うためとの見方を示し、次のように語っている。
「朝鮮民主主義人民共和国の対外経済相の訪問はロシアと北朝鮮の経済関係が様々な部門で伸びている事実を反映している。ここ1年で二国関係は非常にダイナミックに発展している。多くのプロジェクトがあり、そのうちのいくつかは極東で農業などの分野で、北朝鮮の労働力を使い、北朝鮮の資本さえも用いてすでに開始されつつある。(中略)しかももちろん、李氏は同委員会のロシア側の代表である、アレクサンドル・ガルシカ極東発展相とは面識がある。
このふたりは合同委員会の定例会議準備の枠内で話し合うテーマをもっていることから、今回の訪問は非常に中身の濃いものとなることは間違いない。」>(「ロシアの声」日本語版ウエブサイト)
ガルシカ氏は、1975年生まれの、学者出身の官僚で、2013年からプーチン大統領を支持する官製市民運動「全ロシア人民戦線」中央本部の共同議長を務め、政治的影響力を拡大した。李氏の訪露で、ロシア政府の北朝鮮に対する窓口になっているのが、ガルシカ氏であることが可視化されたことの意味は大きい。日本政府は、拉致問題を解決するためにもガルシカ氏との信頼関係を強化しなくてはならない。
ガルシカ氏は、朝鮮半島の南北縦断鉄道建設に強い関心を持っている。
<――北朝鮮経済がここ二十年、深刻な困難を経たことを考えると、ロシアにとって現在、北朝鮮との協力はどの程度の旨みがあるだろうか?
「経済困難は北朝鮮の経済成長にはつき物だが、それでもこの国は発展し続けている。ソ連崩壊の時点で北朝鮮との取引高は20億ルーブルに達していた。これは20億ドルより多い。つまり当時にしては巨額だった。つまりソ連には協力、貿易の分野があったということを示している。この後、両国関係は最小限度に縮小したが、これは何らかの政治的要因によるところが大きい。現在、政治的意思や双方の協力発展を新たに図る上で相互の関心が表れている。(中略)具体的プロジェクトの中で『勝利』プロジェクトはその規模の大きさと長期性で群を抜いている。同プロジェクトはロシアからの総額250億ルーブルの支援で3500キロにわたる鉄道網と付随施設の再建を見込んでいる。この鉄道は北朝鮮の資源の輸出のため、鉱山、港を繋いで走ることになる。」
専門家らの間からは、李龍男対外経済相のロシア訪問の間に、成立するかもしれない金正恩氏の5月9日の戦勝記念式典参加問題が取り上げられる可能性も指摘されている。金正恩氏のモスクワ訪問は露北朝鮮関係の拡大に間違いなく大きなテコ入れとなるものだ。この式典にもし、韓国の朴大統領が列席したならば、モスクワでの南北朝鮮首脳会談の成立も夢ではない>(「ロシアの声」日本語版ウエブサイト)
モスクワで行われる「対ファッショ・ドイツ戦勝70周年記念式典」において北朝鮮、韓国、中国、ロシアが連携して、軍国主義日本を非難するキャンペーンを展開する危険性がある。首相官邸主導で、このような事態にならないようにするように外務省を厳しく指導し、モスクワにおけるロビー活動を強化してほしい。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)