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「北の不注意」 ソニー攻撃で証拠残す FBI長官、異論に反撃
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サイバー攻撃が行われている様子をほぼリアルタイムで示したスクリーンをみつめるインターネットセキュリティーの専門家=2014年12月29日、米カリフォルニア州(ロイター) 米映画会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)に対するサイバー攻撃について、米連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官(54)は7日、サイバー攻撃者の“不注意”のせいで、北朝鮮政府専用のIPアドレス(ネット上の住所)から直接、攻撃が行われた証拠を見付けたため、北朝鮮の犯行と断定したことを明らかにした。米のサイバーセキュリティー専門家が北朝鮮犯行説に多くの疑問を呈したため、これを打ち消すのが狙いと見られるが、コミー長官は攻撃側が極めて初歩的なミスを犯したとしており、事実とすれば北朝鮮のサイバー攻撃部隊のまぬけぶりと実力の限界を露呈したことになる。
「すべての諜報機関がそう思っているように、私は今回のサイバー攻撃が北朝鮮によって行われたということに強い自信を持っている」
コミー長官は7日、ニューヨークのフォーダム大学で開かれたサイバーセキュリティーに関する国際会議でこう述べ、今回のサイバー攻撃の犯人は北朝鮮以外にないと強調した。
ロイター通信や米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、北朝鮮の犯行であると断定した理由について、コミー長官は「(犯行声明を出した)『平和の守護神』を名乗るハッカー集団は、SPEの従業員に脅迫メールを送信したり、サイト上で犯行声明を発表した際、発信源が分からないよう、ほぼ全ての送信に関し、複数のプロキシ(代理の)サーバーを使った」と説明。そのうえで、「物忘れか技術的な問題かは分からないが、彼らは何度か不注意を犯した。おかげでわれわれは、彼らが使ったIPアドレスが、北朝鮮政府専用のIPアドレスと同じだったとの証拠を得た」と指摘した。
長官はさらに、「それは彼らによるミスだった。彼らはミスに気付き、(ネット接続を)非常にすばやく遮断したが、われわれが気付く前に遮断できず、送信元などが判明した」と訴え、脅迫メールなどが北朝鮮政府の専用IPアドレスから直接、送信されたとの考えを改めて示した。
昨年12月、北朝鮮の金正恩第1書記の暗殺が題材のコメディー映画「ザ・インタビュー」を製作したSPEが大規模なサイバー攻撃を受けた事件では、バラク・オバマ米大統領(53)が2日、犯人と断定した北朝鮮に対し、初の報復措置として北朝鮮の諜報機関、偵察総局など3団体と政府高官ら10人を新たに経済制裁の対象に指定した。
しかし一方で、昨年12月26日付米紙ニューヨーク・デーリー・ニューズ(電子版)によると、米のサイバーセキュリティーの専門家からは、犯行声明文の不完全な英文法や言葉の使い回しはロシア語を英訳した可能性が高く、犯人はロシア人との見方をはじめ、北朝鮮犯行説に多くの異論や反論が出ていた。
今回のコミー長官の発言で異論や反論は根拠を失いそうだが、一方でコミー長官は、ハッカーたちがSPEのシステムを突破できた理由は未解明のままであると説明。米政府当局者はロイター通信などに、SPEを恨む元社員ら内部協力者が北朝鮮に情報を漏らした可能性を指摘した。
今回の攻撃でその実力の程が知れた北朝鮮のハッカー部隊だが、攻撃が弱まることはなさそうだ。ジェームズ・クラッパー米国家情報長官(73)は同じ会議でこう警告した。
「北朝鮮はサイバー攻撃が最小のコストで最大の影響力を発揮すると信じている」(SANKEI EXPRESS)