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【野口裕之の軍事情勢】5歳で戦車を操縦した金正恩氏が米映画にかけた妖術?
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首都平壌市にあるアニメ映画の制作スタジオを視察する金正恩第1書記(中央)。妖術使い?の正恩氏は、アニメおたく、映画ファンとしても知られる。朝鮮中央通信が11月27日に配信した=2014年、北朝鮮(ロイター) ソニーの米映画子会社(SPE)へのサイバー攻撃は北朝鮮の犯行のようだ。しかしFBI(米連邦捜査局)は、自らの暗殺計画を描いたコメディー映画《ザ・インタビュー》を作ったSPEに激高した金正恩(キム・ジョンウン)第1書記(31)が操る妖術・超能力の線も捜査した方がよいかもしれない。父は日本各地の火山を大噴火させる力を備える金正日(ジョンイル)総書記(1941~2011年)。祖父の金日成(イルソン)国家主席(1912~94年)に至っては紙に乗ってワープした。DNAを継ぎ5歳で戦車を操縦なさった正恩氏なら、ウイルスに変身して電脳空間に侵入し、SPEのコンピューターシステムをダウンできるはず。冷戦時代に超能力を研究していた米軍が乗り出せば、正恩氏が妖術使いである確率は高くなる。だが、1人当たりの国民総所得は韓国の21分の1。超能力が飢餓に苦しむ人民に使われた形跡はない。
SPEの被害は他に、従業員の個人情報や未公開映画、幹部の人種差別発言やプロデューサーによる女優への悪口を含むメールの流出。テロ予告で、米国上映も一時危ぶまれた。
並のサイバーテロ技術ではなく、正恩氏なら?と考えた。韓国メディアが人民に洗脳してきた正恩伝説につき《3歳で車を運転→5歳で戦車を操縦→8歳の誕生日前には大型トラックに乗り、曲がりくねる凸凹道を時速120キロで走った》と紹介していたためだ。アクセルに幼児の足が届くのかなどと、ヤボを言ってはいけない。自衛隊の前身・警察予備隊/保安隊隊員が米軍供与の戦車のアクセルに足が届かず、下駄や板を装着した前例も在る。正日氏愛用のシークレット・ブーツの製作技術が応用された可能性も残る。
しかも、単なる乗り物オタクではない。韓国メディアの記事を総合すると、戦闘技術~戦略を網羅する「軍事の天才」像が浮かぶ。
《3歳で射撃を覚え→9歳で動く標的にも命中→26歳になると1秒間に3発発射し、100メートル先の電灯やビンに当てた》
《十代で古今東西の名将が編み出した全戦略を学び、陸海空の軍略全てに精通。技術陣もできなかった“祝砲発射自動プログラム”を数日で完成させた》
祝砲をなぜ自動にしなければならないのかはナゾとして、非筋肉質の体型に秘めた、底知れぬ運動神経は想像もつかない。
《バスケットボールでは、プロに勝った》
もちろん文武両道。
《3歳で難解な漢詩を毛筆で書く。英/中国/ロシア/ドイツ/フランス/イタリアの各言語を習得。政治・経済・文化・歴史に造詣が深い》
《農場視察時、酸性土壌を改良する微生物肥料を考案し、研究者は仰天。翌年、韓国の3倍近い効率でコメが採れた》
だのに入営基準の一つ=最低身長が韓国軍158センチに比し、北朝鮮軍は142センチとはどうしたことか。深刻な栄養不足が北の実態だ。人民に夢を与えるのなら、神がかったおじい様を見倣い、スペクタクル観を伴った壮大なウソが不可欠となる。
誕生~抗日遊撃隊~北朝鮮創成期を記した《白頭山伝説集》や公安への取材、韓国メディア報道をつなぐと、日成氏は《99種の縮地=瞬間移動法》や空や地に入り込む《昇天入地》を体得。《紙の船で川を渡り、紙や枯れ葉を使い滑空する》。《風に乗り》ワープもできたようで、大日本帝國陸軍を散々悩ませた。日本側の記録は皆無だが-
《遊撃隊の手下に支給した弾には目が有り、帝國陸軍を百発百中で倒した》
《千里離れていても、帝國陸軍の動きを手に取るように掌握されている》
《負け戦を報じた新聞を日本側が焼却したが、空いっぱいに舞い上がった火の粉が白い紙切れ(新聞)に復元され、陽の光にきらめきながら牡丹雪のように降り、人民は日本の警察官が蜂の巣になった戦況を知る。新聞の火の粉は海を渡り、欧州で、米国やアフリカの原野で、遊撃隊勝利が知れ渡る》
《朝鮮戦争(1950~53年休戦)では小銃で米軍機を墜とす》
正日氏も少年期より時間を縮める《縮時法》を身につけていたらしい。《白頭光明星伝説集》では《龍馬に乗り空を駆けた》とか。不思議なのは、氏の以下の妖術にもかかわらず、日本と日本人がいまだ健在な現実。
《正日氏誕生(41年)を境に、富士山はじめ阿蘇山、三原山、桜島など50余の火山が続けざまに大噴火、地震も頻発する。恐れをなした(昭和)天皇は大軍をよこしたが、無数の矛と巨大な盾で全滅させる》
《帝國陸軍の大将が双眼鏡でのぞくと日成・正日両氏がにらみ付けていて次の瞬間、空から火の玉が落ち帝國は滅びた》
父子に加え母子編も存在する。山梨学院大学の宮塚利雄教授(67)も2007年に僚紙・夕刊フジで証言されているが、北朝鮮は教科書で、要約すると次のごとき物語を教えている。
《ご幼少のみぎり、お母様と小学校をお訪ねになりました。金少年は、朝鮮と日本が同じ赤で塗られた地球儀を発見。憤った金少年は日本の部分だけ黒く塗りつぶすと、日本では驚くべきことが。突然、日本中が真っ暗になり、稲光がし、雷鳴が轟き、激しい夕立が降り注ぎました。領導者・金正日元帥様は、空と土地も自由に動かされる才能をお持ちです》
公式サイトなどによれば、正日氏は生後3週間で歩き、8週目で言葉を発する。大学時代には3年間で1500冊の本を著し(1日1冊以上!)、6本の秀逸なオペラを作曲。初めてゴルフクラブを握るや11回のホールインワンをマークし、38アンダーという驚異的スコアをたたき出した(証人は17人の警護官)。大ファンの引田天功氏がイリュージョンを伝授したのなら有り得る? ただ《大便はしない》というプロフィルはとりわけ、うさん臭い。
もっとも映画ザ・インタビューも予告で、北朝鮮人民が「正恩氏は大小便をしない-と信じている」設定を流している。「軍事の天才」は、凡人には理解不能な行動をなさるのだ。例えば、北朝鮮の国営テレビは11年、正恩氏が双眼鏡を上下逆さまに持ってのぞき込むお姿を誤って?放映している。
「タダ者ではない」のか「タダの人」なのか…。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)