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サイバー攻撃にイランの影 北に協力か「不正ソフト類似」

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サイバー攻撃にイランの影 北に協力か「不正ソフト類似」

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公開中止となった「ザ・インタビュー」の1シーンで、主役の2人(中央がセス・ローゲンさん、右がジェームズ・フランコさん)が平壌に着いて歓迎を受けている場面。映画の中では歓待された2人も実世界では北朝鮮の猛烈な批判を浴び、労作の“お蔵入り”には憤懣やるかたないにちがいない(AP)  北朝鮮の金正恩第1書記(31)の暗殺をテーマにした米コメディー映画「ザ・インタビュー」の公開を予定していた米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が大規模なサイバー攻撃を受け、テロ攻撃予告によって映画の公開中止に追い込まれた問題で、ジョシュ・アーネスト米大統領報道官は18日、「深刻な国家安全保障上の問題」とみなしていると明言し「相応の対応が必要だ」と指摘した。一方、米捜査機関は、サイバー攻撃は北朝鮮国外から北朝鮮当局の意向を受けて行われ、イランなど第三国が協力している可能性があるとの見方を米メディアに示した。

 FBIの捜査「進展している」

 アーネスト報道官は記者会見で、今回の攻撃は「明確な悪意のもと洗練された方法で破壊的に行われた」との認識を表明。企業秘密を盗むサイバー攻撃に対してオバマ政権は厳しく対応すると強調した。さらに捜査には、司法省の国家安保担当部局と連邦捜査局(FBI)が「かなりの態勢で臨み、進展している」ことも明らかにした。

 米フォックスニュースは18日、捜査当局者の話として、イランか中国かロシアが今回のサイバー攻撃で北朝鮮を支援した可能性があると報じた。攻撃では、SPEのコンピュータ画面に「GOPによるハッカー攻撃」というメッセージが表示されたが、GOPとは諜報の世界では「ガーディアン・オブ・ピース(平和の守護者)」の略称として知られ、中国から北朝鮮のためにサイバー攻撃を行っている集団とみられている。

 また、攻撃で使用されたマルウエア(悪意のある不正ソフトウエア)は、これまで北朝鮮絡みで使われたものよりレベルが高く、2年前に中東のエネルギー企業をターゲットとして使用されたマルウエアと類似性があるという。当時の攻撃をめぐっては、米当局はイランが関与したとみて、非難した経緯がある。北朝鮮国営の朝鮮中央通信も今週、「(攻撃は)北朝鮮のシンパによって行われた」と認めている。

 米国では18日、一部の映画館が「ザ・インタビュー」の代わりに、米国の反テロチームが金正恩氏の父親である金正日総書記の企てから世界を救うという内容の風刺人形映画「チーム・アメリカ」(2004年公開)を再上映しようとしたが、配給元のパラマウント映画の要請によって中止された。

 公開中止「危険な前例」

 一連の中止の動きに対しては、米政界から批判の声が上がっている。米下院のエド・ロイス外交委員長(63)はCNNテレビに出演し、「北朝鮮がサイバー攻撃を仕掛けたことは明白だ」と指摘した上で、「ソニーよ、過ちを犯すな。一人の独裁者に屈服すれば、別の独裁者やテロリストに屈することになる」と訴えた。ニュート・ギングリッチ元下院議長(71)もツイッターで、「米国は最初のサイバー戦争に敗れた。非常に危険な前例となる」と危機感を表明。前回大統領選の共和党候補だったミット・ロムニー氏(67)もツイッターで「屈服するな、戦え」とSPEの対応を批判した。

 そんな折、ブラジルの著名作家、パウロ・コエーリョ氏(67)が18日、SPEに10万ドル(約1200万円)で放映権の買い取りを申し出た。自身のブログで無料公開する意向で、コエーリョ氏は「私には脅迫におびえない義務がある」と述べた。ただ、4400万ドル(約53億円)の制作費をかけたSPEからの回答はないという。(SANKEI EXPRESS

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