SankeiBiz for mobile

暗殺映画に「無慈悲な報復」 米ソニー・ピクチャーズにサイバー攻撃 北の関与濃厚

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

暗殺映画に「無慈悲な報復」 米ソニー・ピクチャーズにサイバー攻撃 北の関与濃厚

更新

首都平壌市にあるアニメ映画の制作スタジオを視察する金正恩第1書記(中央)。米映画ファンで知られるが、自身の暗殺がテーマの映画は果たして見るのだろうか。北朝鮮国営の朝鮮中央通信が11月27日に配信した=北朝鮮(ロイター)  北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記(31)の暗殺を題材にしたコメディー映画「ザ・インタビュー(原題)」の全米公開が迫る中、映画を制作した米映像メディア大手、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE、本社・米カリフォルニア州)が先週、大規模なサイバー攻撃を受けた。この映画をめぐっては、北朝鮮が以前から「あからさまなテロ支援であり、戦争行為そのものだ」としてSPEや米当局を批判。国営メディアも「無慈悲な報復」を警告しており、SPEはサイバー攻撃には北朝鮮が関与している可能性が高いとみて、調査を進めている。

 「秘密情報を入手した」

 米国のテクノロジー関係のニュースサイト「リ・コード」などによると、SPE本社へのサイバー攻撃は11月24日にあり、コンピューターシステムがダウン。30日現在でも全面復旧しておらず、多くの社員がパソコンを使えないため、「ペンと紙による業務遂行」を強いられているという。

 システムがダウンする直前にはSPEのコンピューター画面に赤い骸骨の画像と「GOPによるハッキング攻撃」というメッセージが表示され、「これは始まりにすぎない。すでに伝えてあるわれわれの要求が満たされるまで(攻撃を)継続する」と警告した。さらに「(今回の攻撃では)秘密情報も入手しており、順次、ウェブサイト上に漏らしていく。秘密の中にはアンジェリーナ・ジョリーやキャメロン・ディアスらの個人情報も含まれる」などと告げた。

 GOPとは諜報の世界では「ガーディアン・オブ・ピース(平和の守護者)」の略称として知られ、中国から北朝鮮のためにサイバー攻撃を行っている集団とみられるという。

 クリスマスに全米公開

 「ザ・インタビュー」は、北朝鮮で金第1書記にインタビューすることになったセス・ローゲンさん(32)とジェームズ・フランコさん(36)が演じるテレビ局の記者2人に、米中央情報局(CIA)から金第1書記の暗殺指令が下るというストーリー。当初は10月に全米公開される予定だったが、クリスマスに合わせて12月25日に延期された。60カ国以上(日本は未定)で上映見通しという。

 その予告編が公開された今年6月には、北朝鮮外務省が「『ならず者の映画制作者』にこの映画を制作させたのは米政府だ。敵はその卑劣な映画において受容できる限界を踏み越え、最高指導者の尊厳を傷つけようとしている。北朝鮮に敵対行為を犯した者は強烈で情け容赦ない報復を受けることから免れない」などとする声明を発表。7月には、北朝鮮の慈成男(チャ・ソンナム)・国連大使が国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長(70)に「主権国家の指導者の暗殺計画をテーマにしたこのような映画の制作・配給を許可することは、テロ支援と同義であり、戦争行為だ」と訴える書簡を送っている。11月28日にも北朝鮮のウェブサイト「わが民族同士」が、「わが国に対する極悪の挑発行為だ」と非難する記事を掲載した。

 SPEはサイバー攻撃と北朝鮮との関係はまだ確認できないとしているが、米メディアは状況証拠やタイミングから関与はほぼ間違いないとみている。だとすれば、ハリウッド映画ファンで知られる金第1書記も、自身の暗殺がテーマの映画には怒り心頭、我慢がならなかったということか。主演のローゲンさんは「金正恩氏も見てくれるだろう。ぜひ気に入ってもらいたい」とツイッターにコメントしているのだが。(SANKEI EXPRESS

ランキング